白川 治; 小野 久江; 青山 慎介; 菱本 明豊; 岡村 健二; 柳 雅也; 服部 晴起; 山本 康二; 主田 英之; 上野 易弘; 前田 潔
精神薬療研究年報 (公財)先進医薬研究振興財団 (35) 88 - 92 1346-1702 2003/03
セロトニントランスポーター(5HTT)遺伝子多型(5HTT-LPR),ドーパミンD4受容体(DRD4)遺伝子多型(-521C/T),A型モノアミン酸化酵素(MAOA)遺伝子多型(MAOA-uVNTR),カテコール-ο-メチルトランスフェラーゼ(COMT)遺伝子多型(158Val/Met)と自殺との相関研究を行った.更に,これら遺伝子多型間の相互作用と自殺との関連についても検討した.その結果,5HTT-LPR,MAOA-uVNTR,DRD4:-521C/T多型では,自殺既遂者群163例(男112例,女51例)と健常対照群169例における遺伝子型ならびに遺伝子頻度の分布に有意差を認めなかったが,COMT:158Val/Met多型では,男性においてのみ遺伝子型の分布に有意差がみられ,遺伝子頻度でも高活性を示すとされるG(Val)アレルが自殺既遂者群で少ない傾向が認められたことから,男性では高COMT活性が自殺に抑制的に働いていることが示唆された.更に,上記多型間の相互作用を検討したところ,男性においてのみ,5HTT-LPRとMAOA-uVNTR及び5HTT-LPRとCOMT:158Val/Met多型で,遺伝子型の組合せの分布に有意差が認められた