金子 博(カネコ ヒロシ)
法学部 法律学科 | 准教授 |
Last Updated :2024/09/14
■教員コメント
コメント
刑法上の共同責任、とりわけ共同正犯の成立範囲について研究しています。特に、複数人の不作為責任が競合した事例を中心に検討しています。
■研究者基本情報
J-Global ID
研究キーワード
- 刑法
現在の研究分野(キーワード)
刑法上の共同責任、とりわけ共同正犯の成立範囲について研究しています。特に、複数人の不作為責任が競合した事例を中心に検討しています。
■研究活動情報
MISC
- 法学セミナー増刊 速報判例解説 34 179 -182 2024年04月
- 法学セミナー (826) 30 -37 2023年10月
- 先行者の暴行に途中から関与した事例と刑法207条適用の可否法学セミナー増刊 速報判例解説 32 195 -198 2023年04月
- 事実の錯誤と法律の錯誤(1)金子博 刑法判例百選Ⅰ総論〔第8版〕 90 -91 2020年11月
- けん銃等加重所持の共謀とその認定金子博 法学セミナー増刊 速報判例解説 26 179 -182 2020年04月
- 客観的帰属論と過失共犯金子 博 刑法雑誌 58 (1) 87 -105 2019年04月
- 金子 博 立命館法学 372 (372) 257 -289 2017年08月
- 過失の競合に関する一考察――過失不作為犯の競合を手がかりとして――金子 博 川端博ほか編『理論刑法学の探究10』 67 -107 2017年07月 [招待有り]
- 過失共同正犯論の現在―最高裁平成28年7月12日第三小法廷決定を契機として―金子 博 刑事法ジャーナル (51) 11 -23 2017年02月 [招待有り]
- 〈判例研究〉1.同時傷害の特例を定めた刑法207条の法意 2.共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案においていずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定された場合と刑法207条の適用の可否(最三決平成28年3月24日刑集70巻3号1頁)金子 博 近畿大学法学 64 (2) 69 -97 2016年11月
- 犯罪行為に利用されている自己名義の預金口座からの払戻しと財産犯の成否―東京高裁平成25年9月4日判決を素材として金子 博 井田良ほか編『浅田和茂先生古稀祝賀論文集 上巻』 785 -806 2016年10月 [招待有り]
- 金子 博 近畿大学法学 63 (1) 45 -74 2015年07月
- 真正身分犯の共犯について――共犯の処罰根拠の観点から――金子 博 浅田和茂ほか編『自由と安全の刑事法学-生田勝義先生古稀祝賀記念論文集』 299 -319 2014年09月 [招待有り]
- 不作為犯の共同正犯(2・完)金子 博 立命館法学 (347) 157 -219 2013年06月
- 合議決定に関する刑事責任についての一考察――三菱自動車欠陥事故最高裁決定を契機として――金子 博 立命館法学 (345・346) 253 -281 2013年03月
- 加藤克佳; 金子博; 共 名城法学 62 (4) 193 -209 2013年03月
- 不作為犯の共同正犯(1)金子 博 立命館法学 (344) 115 -163 2012年12月
- 〔翻訳〕量刑の実務(二)葛原力三; 飯島暢; 金子博 関西大学法学論集 61 (2) 138 -205 2011年07月
- 〔判例研究〕共犯者が住居に侵入した後強盗に着手する前に現場から離脱した場合において共謀関係の解消が否定された事例(最決平成21年6月30日刑集63巻5号475頁)金子 博 立命館法学 (332) 271 -300 2010年12月
- 過失犯の共同正犯について―「共同性」の規定を中心に―金子 博 立命館法学 (326) 26 -189 2010年01月
講演・口頭発表等
- 金子博日本刑法学会第102回大会ワークショップ「同時傷害の特例」 2024年06月
- 過失犯における共同正犯の成立範囲 [通常講演]金子 博日本刑法学会第96回大会 ワークショップ「過失犯における個人責任と組織体責任の交錯」 2018年05月
- 客観的帰属論と過失共犯 [通常講演]金子 博日本刑法学会関西部会 共同研究「客観的帰属論の到達点と課題」 2018年01月
- 過失犯の共同正犯について―過失不作為犯を中心に― [通常講演]金子 博日本刑法学会関西部会 2012年01月わが国では、過失犯の共同正犯に関する根拠は、意識的・意思的な共働または因果的な共働と考えられている。もっとも、過失の共同正犯の法形象が認められうるどうかの問題は重要視されるが、共同正犯の範囲は重要視されていない。それゆえ、共同の行為計画を前提としない関与が問題となる。例えば、経営者らが有毒な製品を回収する決議を怠り、消費者において死傷結果が生じた場合、支配的な見解によれば、経営者の共同責任も、そして因果関係が認められないために単独責任も存在しない。これは、過失の共同正犯の根拠を看過していることを意味する。それゆえ、ドイツの議論に依拠しながら過失犯の共同正犯の根拠について考える。 ドイツでは過失犯の共同正犯を基礎づける試みが増している。伝統的な見解によれば、共同の行為計画(あるいは共同行為の認識)が要求されている。しかし、関与者らが共同計画なしに寄与した場合、共同責任は存在しない。さらにいえば、共同の決意は、構成要件の実現に関する共同責任を基礎づけるものではない。これに対し、最近の規範的な見解によれば、構成要件的態度の共同管轄が共同性を基礎づけている。この管轄は、たとえ関与者らが共同計画なしに寄与したとしても、共同責任を基礎づけることができる。 以上のことから、過失の共同正犯にとって決定的なのは、構成要件該当結果を回避または阻止する共同(注意)義務の共同違反である、ということが導き出される。