木村 裕一 (キムラ ユウイチ)
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2018年4月に臨床研究法が施行された。同法は、同法が定義する「臨床研究」に該当する研究について、医師免許保有者に研究の実施を求める法であるため、医師免許を保有しない工学出身の者が多い生体工学研究者を研究活動から遠ざけてしまっている。日本生体医工学会では、生体医工学研究を活性化することを目的に、ある研究が法の定める臨床研究に該当するか否かを判断するためのガイドラインを2019年10月に発出した。ガイドラインは該当性判断機序の概要を示しているが、ガイドライン充実のためには電気刺激、運動支援などの各分野の研究者によって、詳細な判断機序を与えるための別表が作製される必要がある。
2018年4月に臨床研究法が施行された。同法は、同法が定義する「臨床研究」に該当する研究について、医師免許保有者に研究の実施を求める法であるため、医師免許を保有しない工学出身の者が多い生体工学研究者を研究活動から遠ざけてしまっている。日本生体医工学会では、生体医工学研究を活性化することを目的に、ある研究が法の定める臨床研究に該当するか否かを判断するためのガイドラインを2019年10月に発出した。ガイドラインは該当性判断機序の概要を示しているが、ガイドライン充実のためには電気刺激、運動支援などの各分野の研究者によって、詳細な判断機序を与えるための別表が作製される必要がある。
【目的】臨床的価値の高いFDG-PET/CT画像診断における医師の負担軽減及び診断精度向上のため、FDG-PET/CTの画像パターンに対する異常検知処理に基づく頸胸部病変の自動検出法を提案する。【手法】FDG-PETは、糖代謝亢進を反映し腫瘍部位では異常集積を呈する。そこで提案法では、CTの閾値処理及びモルフォロジ処理にて左右肺野を自動抽出し、肺野を基準に縦隔領域を自動抽出する。次に領域ごとの健常組織画素値に関する統計モデルを用いた異常検知による病変候補の検出を行う。異常検知に用いる統計モデルは健常画像の画素(HU, SUV)の2次元正規分布モデルとし、マハラノビス距離を異常度として計測する。左肺、右肺、縦隔で個別に算出した異常度の閾値処理にて病変候補を得る。得られた候補領域から微小体積のものを削除し、腫瘍が疑われる部位を検出する。図に病変検出例を示す。【結果】臨床撮像された食道癌、肺癌の10症例の全身PET/CTを用いて提案法の評価実験を行ったところ、検出感度94.7%(18/19病変)、過検出数14.0個/例の性能が得られ、提案法の有用性を確認した。【結論】今後の課題は、病変検出感度の改善や誤検出病変候補の削減処理の追加が挙げられる。
アルツハイマー病(AD)は、認知機能の低下が起こり始める前に発見することが重要である。ADの原因物質であるアミロイドβ(Aβ)の集積を観察する方法の1つとして、PETが用いられている。しかし、Aβの集積量が非常に微量な初期段階では、PETのノイズに埋もれてしまうため、読影が困難である。そこで我々は、空間分解能を維持しつつノイズを低減するアルゴリズム(CAKS)を開発している。通常のノイズ低減アルゴリズムでは、隣接している画素の空間情報を使用し平滑化などが行われるが、CAKSでは、薬剤の動態が類似している画素をまとめ、平均化することでノイズを低減しているため、従来法と比べ空間分解能が落ちにくい。実際の臨床画像に対してCAKSを適用した結果、空間分解能の維持及びノイズが低減されたことで、従来法では困難であった白質と灰白質の境界が視認できるほど画像が鮮明になった。また、白質と灰白質のコントラストを統計的に評価した結果、両者に有意な差(p<.05)が認められた。これらの結果から、PETアミロイドイメージングに対するCAKSの有効性が示唆された。
A deposit of amyloid β (Aβ) to the central nervous system causes Alzheimer's disease (AD). A periodical evaluation on Aβ, a year, can therefor detect the beginning of AD, and it realizes an effective medical treatment for AD. For quantitative measurement of Aβ deposit is available using PET, and it requires to delineate the cerebellum gray matter as a reference region, when no Aβ deposit occurs physiologically and it has complicated shape. This study aim at proposing automated delineation algorithm based on a kinetics of administered PET tracer for Aβ imaging. The validation using a clinical data presented no significant difference (p < 0.05) between the amount of Aβ deposit using an ordinary manual delineation and the automated method. We can conclude that the algorithm is clinically useful.