井田太郎 (担当:単著範囲:)岩波書店 2019年09月 ISBN: 9784004317982 iii, 270, 17p, 図版 [8] p all
酒井抱一の一生における俳諧と絵画の相関性について論じた学術的伝記である。まず、これまでの通説を概観し、年代順に作品に即して検討する。しかし、本書が決定的に他と違って新しいのは、俳諧からのアプローチを試みた点にある。文学と絵画の相関性の本は数多いが、美術史学を習得して書かれた文学の本は日本ではほとんどない。彼の代表作である夏秋草図屏風(東京国立博物館蔵)について、いくつか新資料を報告しつつ、俳諧の技法をどのように使用しているのか論じた。また、特記すべき事項としては、文中に出てくる難解な彼の俳句をすべて評釈している。また、署名や使用した印章の変遷がわかる年表も付している。