山崎 晃嗣; 竹村 豊; 有馬 智之; 益海 大樹; 長井 恵; 井上 徳浩; 杉本 圭相
日本小児アレルギー学会誌 35 5 426 - 435 (一社)日本小児アレルギー学会 2021年12月
[査読有り] 【背景】食物アレルギー診療ガイドライン2016では食物経口負荷試験(OFC)の総負荷量として少量,中等量,日常摂取量で例示されているが,患者の背景因子から選択する明確な規定はない.本研究では,鶏卵総負荷量の選択における特異的IgE(sIgE)の有用性について検討した.【方法】鶏卵を未摂取または完全除去中の児に実施したOFCを対象に,卵白sIgEにより20分加熱卵白の総負荷量を設定した.各負荷量におけるOFCの陽性率,卵白,オボムコイド(OVM)sIgEのArea under the curve(AUC)を比較した.【結果】少量,中等量,日常摂取量のOFCの陽性率は66.6%,27.9%,8.3%,卵白,OVM sIgEのAUCは0.61,0.65(P=0.71),0.58,0.69(P<0.05),0.92,0.91(P=0.89)であった.【結論】鶏卵アレルギーが疑われる児に対し,OFCを実施する際に卵白sIgEを用いて総負荷量を設定する方法は,鶏卵摂取を開始する指標として有用である.(著者抄録)