豊田 秀吉; 松田 克礼; 清水 邦彦; 大形 浩; 橋本 尚子; 大内 成志
植物組織培養 5 2 66 - 71 Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology 1988年
トマト葉外植片から誘導したカルスを使用し, フザリン酸抵抗性再生体の選抜を試みた。外植片をカルス誘導培地で培養すると, 増殖度の高いカルスが誘導され, 同培地で継代すると, 組織内に多数の緑色小斑が形成された. この小斑からは高率に茎葉が再分化されるので, 1個の小斑が含まれるようにカルス組織を細断し, ブリザン酸を添加した茎葉再分化培地に移植したところ, 約1,000個の小斑が形成されたカルスから150個体のフザリン酸抵抗性再生体を分離することができた. これらの中にはフザリン酸添加ホルモンフリー培地で発根できない個体も存在したが, 上記培地で根を伸長した個体については, 土壌に移植して1ヵ月間栽培したあと, その最上位の分枝を切り取り, フザリン酸に浸漬処理しても強い抵抗性を示した. 以上から, 本法は, 植物の組織培養系における各種薬剤抵抗性の in vitro 選抜系として有効であると考えられた.