河上 哲 (カワカミ テツ)

  • 経済学部 総合経済政策学科 教授
Last Updated :2023/09/23

コミュニケーション情報 byコメンテータガイド

  • コメント

    社会資本整備、地域産業政策、都市交通政策、都市環境政策など。
  • 報道関連出演・掲載一覧

    <報道関連出演・掲載一覧> ●2017/6/16  岐阜新聞  たかやま林業・建設業協同組合の欧州型山づくり整備のフィールドワークについて

研究者情報

学位

  • 博士(社会工学)(2004年03月 筑波大学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 都市経済   地域経済   産業集積   

現在の研究分野(キーワード)

    社会資本整備、地域産業政策、都市交通政策、都市環境政策など。

研究分野

  • 人文・社会 / 経済政策 / 都市経済学、地域経済学、交通経済学

経歴

  • 2014年04月 - 現在  近畿大学経済学部教授
  • 2011年04月 - 2014年03月  近畿大学経済学部准教授
  • 2008年04月 - 2011年03月  三重大学人文学部准教授
  • 2005年04月 - 2008年03月  三重大学人文学部講師
  • 2004年04月 - 2005年03月  独立行政法人日本学術振興会特別研究員(PD,経済学)
  • 2002年04月 - 2004年03月  独立行政法人日本学術振興会特別研究員(DC2,経済学)

学歴

  • 1999年04月 - 2005年03月   筑波大学   大学院博士課程社会工学研究科
  • 1995年04月 - 1999年03月   筑波大学   第三学群 社会工学類

研究活動情報

論文

MISC

  • Eri Yamada; Daisuke Watanabe; Tetsu Kawakami Proceeding of the 9th International Conference on Transportation and Logistics (TLOG 2022) 1 -13 2022年09月 [査読有り]
  • Eri Yamada; Tetsu Kawakami Paper presented at the 6th Geography of Innovation Conference 2022年07月 [査読有り]
  • 自動車部品の国内調達物流における地域間流動の構造変化
    山田 恵里; 渡部 大輔; 河上 哲 日本オペレーションズ・リサーチ学会 2022 年春季研究発表会アブストラクト集 2022年03月 [査読有り]
  • 自動車部品サプライヤの知識特性と立地に関する実証分析
    樋口 広喜; 河上 哲 日本交通学会2020年第79回研究報告会予稿集 148 -155 2020年10月 [査読有り]
  • The Dynamics of Product Space: Evidence from the Japanese Auto-parts Industry
    Eri Yamada; Tetsu Kawakami; Pierr-Alexandre Ballnad; Jiro Nemoto Paper presented at the 5th Geography of Innovation Conference 2020年01月 [査読有り]
  • The Structure of the Knowledge Network: An Exploratory Study of the Japanese Auto-parts Product Space
    Tetsu Kawakami; Eri Yamada; Jiro Nemoto Paper presented at the 66th Annual North American Meetings of the Regional Science Association International 2018年11月 [査読有り]
  • Eri Yamada; Tetsu Kawakami; Pierr-Alexandre Balland Paper presented at the 4th Geography of Innovation Conference 2018年02月 [査読有り]
  • The Micro-geographies of Productivity Growth: Evidence from the Auto-related Industries in Japan
    Tetsu Kawakami; Eri Yamada; Jiro Nemoto Paper presented at the 57th European Regional Science Association Congress 2017年08月 [査読有り]
  • 河上 哲 三重大学社会連携研究センター研究報告 18 1 -4 2009年12月
  • 河上哲; 徳田博美; 鹿嶋洋; 奥村英仁 第12回海洋深層水利用学会全国大会講演要旨集 25 2008年09月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
    研究期間 : 2018年04月 -2023年03月 
    代表者 : 河上 哲
     
    前年度までの研究成果として、日本の基幹産業であり特徴的な集積形態が見られる自動車産業を対象に、各自動車部品をネットワークのノードとし、技術的に類似する部品間をリンクで結ぶ製品空間(Product space)を構築して可視化した。また、各部品に要する技術の洗練性(いかに多様でかつ稀少な知識・技術を要するのか)を、部品に体化された知識・技術に関する複雑性指標として計測した。さらに、製品空間の局所的な位相構造と各部品の洗練性との関連を探索的に検証したうえで、洗練された新しい部品の市場に出現する確率(=イノベーションの発生確率)が、既存の製品空間の位相構造や、出現した部品と技術的に近接する既存部品の洗練性に、どのように規定されるかを計量経済学的に分析した。 今年度は、自動車部品サプライヤが有する知識特性と、産業集積との関連について地理的な空間分析を行った。各サプライヤが生産する部品構成を整理したデータベースに、それぞれの部品が生産される工場の住所情報を接続することにより、部品の知識洗練性と、当該部品が生産される工場立地点や集積との関連について空間分析が可能となった。探索的な空間データ分析を行った結果、知識洗練性の大きい(小さい)部品を生産する工場がクラスターを形成するホットスポット(コールドスポット)が統計的に検出された。ホットスポットとコールドスポットが分布する地理的範囲を比較検証した結果、洗練性が大きい部品群を生産する工場は、洗練性が小さい部品群を生産する工場に比較して、分散立地することなく狭い範囲に集積して立地する傾向が確認された。本研究の分析結果は、知識洗練性の大きいイノベーティブな活動が相対的により集積することを示す既存の実証研究と整合的であり、集積に伴う知識スピルオーバーの重要性を改めて示唆するものである。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2018年04月 -2023年03月 
    代表者 : 河上 哲
     
    前年度までの研究成果として、日本の基幹産業であり特徴的な集積形態が見られる自動車産業を対象に、各自動車部品をネットワークのノードとし、技術的に類似する部品間をリンクで結ぶ製品空間(Product space)を構築して可視化した。また、各部品に要する技術の洗練性(いかに多様でかつ稀少な知識・技術を要するのか)を、部品に体化された知識・技術に関する複雑性指標として計測した。さらに、製品空間の局所的な位相構造と各部品の洗練性との関連を探索的に検証したうえで、洗練された新しい部品の市場に出現する確率(=イノベーションの発生確率)が、既存の製品空間の位相構造や、出現した部品と技術的に近接する既存部品の洗練性に、どのように規定されるかを計量経済学的に分析した。 本年度は、自動車部品サプライヤが有する知識特性と、産業集積との関連について地理的な空間分析を行った。各サプライヤが生産する部品構成を整理したデータベースに、それぞれの部品が生産される工場の住所情報を接続することにより、部品の知識洗練性と、当該部品が生産される工場立地点や集積との関連について空間分析が可能となった。探索的な空間データ分析を行った結果、知識洗練性の大きい(小さい)部品を生産する工場がクラスターを形成するホットスポット(コールドスポット)が統計的に検出された。ホットスポットとコールドスポットが分布する地理的範囲を比較検証した結果、洗練性が大きい部品群を生産する工場は、洗練性が小さい部品群を生産する工場に比較して、分散立地することなく狭い範囲に集積して立地する傾向が確認された。本研究の分析結果は、知識洗練性の大きいイノベーティブな活動が相対的により集積することを示す既存の実証研究と整合的であり、集積に伴う知識スピルオーバーの重要性を改めて示唆するものである。
  • 国内自動車産業におけるサプライチェーン・ネットワークの創発に関する実証分析
    公益財団法人日本生産性本部:生産性研究助成
    研究期間 : 2022年 -2023年 
    代表者 : 山田 恵里; 渡部 大輔; 河上 哲
  • 産業クラスターと知識ネットワーク の地域構造分析
    愛知大学三遠南信地域連携研究センター:【越境地域政策研究拠点】2018年度共同研究(一般共同研究)
    研究期間 : 2018年 -2019年 
    代表者 : 山田 恵里; 河上 哲; 根本 二郎; 蒋 湧
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 河上 哲; 根本 二郎; 山田 恵里
     
    本研究では、第一に、輸送用機械関連産業の集積が見られる名古屋大都市圏を対象に探索的空間データ分析を行い、市町村地域の雇用創出に寄与する産業クラスターの分布と産業構成を、地図上に可視化して特定した。第二に、確率的フロンティア分析により、自動車・自動車車体・自動車部分品に分類される事業所の全要素生産性の変化を、①生産フロンティアの変化(技術進歩)、②生産効率性の変化、③規模効率性の変化の3つの構成要因に分解して計測した。特に自動車部分品製造業について、大規模組立工場の地理的近接に立地する事業所に生産フロンティアの顕著な増大が計測され、組立工場を中心とした自動車産業クラスターの形成が確認された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 西田 喜平次; 松浦 成昭; 濱田 吉之輔; 河上 哲; 野際 大介; 山田 恵里
     
    厚労省が推奨する地域包括ケアシステムのサービス内容や連携のあり方, さらに地域単位サイズ設定に関する議論は途上段階にある. 本研究は, 医療圏を階層構造を持つシステムと想定し、各層における最適な供給施設数と規模の経済性との関係, および必要な階層数に関する知見を得て, 経済効率性から最適な医療供給圏サイズの導出を行い, 地域包括ケアシステムのサービス地域単位や医療圏サイズの目安を作成することを試みた. 特に本研究では、サービス提供者間の空間的競争関係を考慮し、社会的最適な場合と競争的な場合で、施設配置の比較を行った。社会的最適な場合には発生しない施設配置が競争的な場合に見られることがわかった。
  • 東大阪市への来訪者がもたらす地域経済効果測定に関する調査
    東大阪市:地域研究助成金
    研究期間 : 2017年 -2018年 
    代表者 : 河上 哲; 山田 恵里; 山田 光男
  • 輸送用機械関連産業の産業クラスターの形成とネットワーク構造に関する実証分析
    愛知大学三遠南信地域連携研究センター:【越境地域政策研究拠点】2017年度共同研究(一般共同研究)
    研究期間 : 2017年 -2018年 
    代表者 : 河上 哲; 根本 二郎; 山田 恵里
  • 東大阪市産業連関表の作成と地域経済構造分析
    東大阪市:地域研究助成金
    研究期間 : 2016年 -2017年 
    代表者 : 河上 哲; 山田 恵里; 山田 光男
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 西田 喜平次; 松浦 成昭; 濱田 吉之輔; 河上 哲; 山田 恵里
     
    我が国では, 診療所や病院など医療施設の空間的偏在は顕著である。本研究では、医療施設がホテリング流の空間的立地競争を行っていると仮定した場合に, 出来高払い制度(FFSRS)と診断群分類別包括支払い制度(DPC/PDPS)のどちらが, 医療施設の空間的偏在を緩和させることが出来るか研究を行った。結果として, DPC/PDPSはFFSRSよりも激しい競争をもたらし, 集中立地を和らげるメカニズムを持つことが解明された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 河上 哲
     
    本研究では、第一に、探索的空間データ分析の手法により「成長クラスター」(技術的に近接にある成長産業の地理的な集積)を検出した。第二に、検出された成長クラスターの形成に、どのようなタイプの動学的外部性が寄与しているのかを空間計量経済モデルを構築して分析した。名古屋大都市圏を対象にした分析によれば、成長クラスターのコア部の形成には、輸送用機械と技術的に近接にある各種多様な製造業やサービス業の間での外部性の波及が寄与している。一方でクラスター縁辺部は輸送用機械と電気機械のみにより形成されており、同一産業内の外部性がクラスター内の広い範囲に波及してそれら産業の成長に寄与していることが分析された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 泉田 信行; 山田 篤裕; 菊池 潤; 黒田 有志弥; 野口 晴子; 田宮 奈々子; 猪飼 周平; 中村 さやか; 井深 陽子; 白瀬 由美香; 酒井 正; 大塚 理加; 菅 万里; 濱秋 純哉; 高久 玲音; 大津 唯; 河上 哲; 西田 喜平次; 福島 和矢; 福井 真夫; 今堀 まゆみ
     
    国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険制度、などの地域をベースとする医療・介護保険制度における個人ごとの給付を連結するデータセットを作成したことは本研究の成果のひとつである。。これにより、個人が加入する医療保険制度が変化しても、サービス利用状況を正確に把握することが可能となった。このデータを用いて、保険料の納付状態と医療費の関係、医療費使用と制度異動の関係、などについて明らかにすることができた。 さらに、地域に暮らす高齢者を対象として、社会学、経済学の研究者が共同してインタビュー調査、参与観察、質問紙調査を設計・実施し、サロン活動に参加する高齢者の健康状態などの特性について明らかにした。
  • 産業集積による知識のスピルオーバーと地域生産活動のイノベーションに関する基礎的研究
    国土交通省国土政策局:国土政策関係研究支援事業
    研究期間 : 2014年 -2015年 
    代表者 : 河上 哲; 山田 恵里
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
    研究期間 : 2012年08月 -2014年03月 
    代表者 : 西田 喜平次; 松浦 成昭; 濱田 吉之輔; 河上 哲; 山田 恵里
     
    本研究では, わが国で激化している医療施設間競争が, 医療施設の均衡立地と社会的厚生水準にどのように影響するか, 出来高払い制度と包括払い制度の2制度間で比較分析を行った. 主結果として以下が主張できる. 1.出来高払い制度は包括払い制度と比較して, 診療所の集中立地を生む傾向がある. 2.包括払い制度の下では, 医療サービス需要の地域的差異に応じた診療報酬格差を設定しても, 過疎地に診療所を誘致することは難しい. 3.出来高払い制度の下で, 医療サービス需要の地域的差異に応じた診療報酬格差を設定しても, その格差は最低でも1.8倍に設定しなければ, 医療過疎地に診療所を誘致することは難しい.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 河上 哲
     
    産業集積に伴う動学的外部効果と地域産業成長との関連を、名古屋大都市圏市町村の製造業とサービス業を対象に、探索的空間データ分析の手法を応用して分析した。地域間の地理的近接性に加え、産業間の技術的近接性も考慮する分析モデルにより、成長クラスターを構成する産業や、クラスターの地理的な範囲を統計的に検出することが可能となった。分析結果より、比較的大きな圏域には単一産業に基づくMAR型の外部効果が、小さな圏域には多様な産業に基づくJacobs型の外部効果が成長に寄与していることが判明した。
  • 地域経済波及効果から見た海洋深層水事業を軸とする尾鷲市振興戦略
    三重大学:地域貢献事業
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 河上 哲
  • 中京都市圏における産業構造、比較優位と集積の経済-地域成長構造の計量分析-
    日本計画行政学会中部支部:2008年度研究助成
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 河上 哲
  • 中部国際空港開港後の経済効果調査
    財団法人中部空港調査会:
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 河上 哲; 鈴木 崇児; 山田 光男
  • 三重県紀北地域とその周辺における地域経済構造の分析と将来展望に関する調査
    中部電力株式会社:
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 安食 和宏; 鹿嶋 洋; 河上 哲
  • 中京都市圏における港湾アクセシビリティと地域経済成長
    日本港湾経済学会中部部会:
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 河上 哲
  • 三重県紀北地域とその周辺における地域経済構造の現状分析と将来展望に関する基礎調査
    中部電力株式会社:
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 安食 和宏; 鹿嶋 洋; 河上 哲
  • 県・市レベルのSAM(社会勘定行列)作成とCGE(計算可能一般均衡)モデル構築
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 土井 正幸; 伊藤 秀和; 森 隆行; 河上 哲
     
    価格や技術構造の変化を通した中・長期的な視点からの産業部門別評価が可能となるCGEモデルを応用した既存の経済政策評価研究は、データ制約上の問題などから一国または国際間を対象にしたものがほとんどである。これに対して、国よりも下位の県や市のレベルの地域では価格の変化、域外漏損、生産要素移動、域際スピルオーバーといった影響を特徴的に受けやすく、それらを明らかにしつつ、地域経済政策を評価していくニーズが高い。本研究は、県や市などの地域レベルでのSAMを作成し、それに基づいたCGEモデルを構築することである。 初年度は既存研究のレビューとデータの収集を行ったが、両方とも非常に限られていることを確認した。地域SAMを作成するには都道府県あるいは市レベルの産業連関表と経済計算が必要となる。全都道府県では産業連関表と経済計算は一応作成されており、地域SAMに必要な全般的データは入手可能であった。しかし、政府部門をさらに細かく都道府県、市町村、社会保障基金、国出先機関と分かれた一般政府部門の所得支出勘定(作成方法はまだ確定していない)を作成している地域は13県に限られる。一方政令市においては一部の市においては産業連関表と経済計算がまだ作成がされていない地域もあるのが現状である。政令市においては大阪市のみが一部を作成している状況である。これがあると、政府間での金額のやり取りが詳細に把握することができ、SAMにより国から地方への税源移転などの分析が可能になる。 本研究ではこうしたデータ制約条件を満たした地域の内、比較的経済が閉じた北海道・沖縄について初年度から、及び産業連関表作成に熱心な兵庫県のケースについて、また政令指定都市ではデータ条件を満たした大阪市について第2年目に、SAM(社会勘定行列)を作成した。そして、北海道と沖縄については、地域CGE(計算可能一般均衡)モデルの構築を行った。遠隔地である沖縄県や北海道の場合運輸政策が地域経済発展に重要な鍵を占めるため、運輸部門の効率化政策の経済インパクトを評価した。両地域とも輸送改善は短期的には輸送費節約となるものの、長期的にはむしろ移入を増加させて一層非もの作り経済に陥ることがCGEモデルで指摘されるため、製造業の強化などの協調政策が必要となる。しかも、海上輸送距離が長い沖縄の方が、北海道より一層顕著にその傾向が現れている。
  • 中国における経済の自由化・市場化と成長-動学的・地域間CGEアプローチ-
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 河上 哲
     
    本研究は、中国における今後の自由化・市場化に向けた構造的な経済政策の中国経済にもたらす中長期的なインパクトを、経済成長の経路や速度、地域・部門間格差を視野に入れながら議論することを目的とする。 本年度を通して採用した分析アプローチは、地域格差や経済成長の要因に関する分析に有効な新古典派経済成長理論に基づく成長回帰モデルである。そこでは、計量モデルの推定パラメータの統計的有意性や係数の大小から、経済の長期的な均衡「定常状態」に向けた所得水準の収束スピード、さらに定常状態をコントロールする変数に関する経済成長の要因・格差に関する政策的示唆を得ることが可能となる。 中国の省データを応用した分析結果より、改革・開放期間全般を通じて所得水準の条件付き収束(地域の定常状態の違いによって説明されない成長率の収束)が確認され、そのスピードが90年代に速くなっていることが実証された。また改革・開放初期は、農村の発展が地域成長と格差縮小に寄与し、90年代には外国資本の流入が地域成長に寄与したものの、地域格差の拡大を招いたことが明らかとなった。教育と非国有企業の成長は、期間全般にとって地域成長の鍵であり、人的資本や非国有企業の強化を伴った外国資本の内陸部誘致が今後の持続的経済発展に重要であることが示唆された。研究成果は国際学術誌Review of Urban and Regional Studiesに発表した。 今後の研究の発展として、本研究で推定された生産関数のパラメータ等を、家計、産業、政府、海外等の各部門における構造的な効果・影響を評価できるCGEモデルに応用しながらモデル構築、シミュレーション分析を進め、より深い政策示唆を得ることを目指すものである。 その他日本やインドを対象に、国や地域の経済政策(特に日本の環境政策や交通社会資本整備政策、インドの市場化政策)及び経済成長に関する実証研究を行い、研究成果として国内外の学術雑誌や学術研究書に発表を行った。
  • 労働市場自由化と経済成長 -動学的CGEアプローチ-
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 河上 哲
     
    地域間人口移動、特に都市農村間の移動は、一国の経済成長を論ずる上で、農業と工業・サービス業の間の労働配分や生産性とも関係して、その分析が不可欠である。伝統的な二重経済発展論において議論されるように、生産性の低い農村から、高い都市への労働力の再配分により経済成長が達成される。特にこの観点に注目し、都市農村間人口移動が政策的に制限されてきた中国を研究対象地域として研究を進めた。分析アプローチとしては、家計、産業、政府、海外等の各部門における構造的な効果・影響を評価できるCGE(Computable General Equilibrium)アプローチを採用した。本年度では、昨年度までに構築された比較静学モデルを、労働力の増大や資本蓄積過程を考慮に入れた動学モデルへと高度化させ、長期均衡経路途中に必要な投資拡大や人口移動のスピード等の移行・発展過程にも着目しながら、改めて労働・資本市場自由化や貿易自由化のシミュレーション分析を行った。そこでは、静学モデルによる分析結果と比較し、生産要素を効率的に用いる製造業等の今後有望視される産業が一層成長する一方で、交通部門等の資本生産性が低い産業の生産が大幅に縮小することが実証された。また新古典派成長理論にもとづく成長回帰分析により、改革・開放以降の経済成長の要因が、農村部の発展から東部沿岸都市部の発展を中心とした要因にシフトしており、また定常状態へ向けた収束スピードが加速していることが実証された。その中で、改めて経済成長に対する労働力移動の重要性が高まっていることが確認された。さらにCGEアプローチへの貢献として、CGEモデル構築の基本データベースとして不可欠な産業連関表について、特に市町村等の小地域産業連関表の作成と応用に関する研究を行った。研究成果は、環太平洋産業連関分析学会(於熱海)において報告し、国内外の学術雑誌に発表した。また、一連の中国研究の成果を博士学位論文としてまとめた。

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