After the full liberalization of Japan’s retail electricity and city gas markets, marketing strategies such as the bundling of electricity, gas or other services have become very popular. According to the previous theoretical literature, bundling strategies can increase the switching costs incurred by consumers and reduce the probability of consumers switching retail suppliers. This study empirically examines whether retail suppliers’ bundling strategies affect consumers’ switching behavior in Japan’s retail energy markets. Implementing a discrete choice model using micro-data on households in the Kansai region of Japan, this study obtains results, showing that when consumers subscribe for electricity bundled with gas or other services, they are significantly less likely to switch their electricity suppliers. This paper provides policy implications for reviewing market competition and consumer welfare after the full liberalization of Japan’s retail energy markets.

ソフトウェアなどの情報財のアップグレードは, 頻繁に行なわれる。ソフトウェアのアップグレードに関する理論的な議論には進展が見られるものの, 実証的な分析の取り組みはこれまでのところ極めて少ない。本稿では, ワープロソフト市場を題材とし, ワープロソフト利用者の個票データを用いて, 利用者がアップグレードするかどうかの意思決定にどのような要因が関係しているのかという利用者側からの分析を試みる。分析の結果, 調査時期におけるアップグレードが, 利用者にとって必ずしも有益でない可能性を示唆する結果が得られた。 （英文） Many information products including software are sold as upgrades. There exist very few empirical studies about information product upgrades. This paper focuses on software upgrade and the users' choice in the Japanese word—processing software market in the period between 2001 and 2004. The Logic model that uses users' micro data is employed for this investigation. The results imply that the upgrades during this period were not necessarily desirable for users.

本研究はネットワーク外部性とスイッチングコストの大きさを、ユーザの個票データを使って計測、分析したものである. まず、OSについては、ネットワーク外部性の大きさは、機能・性能の向上すなわち技術革新では崩せないほどに大きい。現在のシェアの差を前提すると、シェア2位の企業が新しい機能・性能でネットワーク外部性に対抗するには、10年分の技術革新を一挙に行う必要がある。それだけの技術革新を現実に達成できるとは考えにくく、ゆえにネットワーク外部性は大きな参入障壁となっている。OS市場については参入が阻害され、競争が減退している可能性が高い。 IP電話でのネットワーク外部性は、音質・信頼性など技術革新で対抗するには難しいが、料金換算で600円ほどであり、思い切った料金引き下げを行えば対抗できるほどの大きさである。スイッチングコストも300円ほどでそれほど大きいわけではない。現状では競争が減退する恐れは無いと見てよい。 ルータについては、ネットワーク外部性はユーザによって認識されてはいるものの、測定して見るとその大きさは必ずしも有意ではない。また、有意であってもその効果の大きさはスイッチングコストよりも小さい。スイッチングコストは有意で、その大きさはネットワーク外部性を上回るが、それでも技術革新で対抗できないほどの大きさではない.全体としてルータ市場では競争政策を発動する必要性は乏しいと考えられる。 以上をまとめてみると、ネットワーク外部性による独占化傾向が生じていて、競争政策上問題なのはOS市場である。IP電話とルータについては技術革新の力を信じて、市場競争にまかせておくだけでよいということである。 この調査の目的は個票を用いての測定がどれだけ有効であるかにあった。本研究では技術革新と比較した場合のネットワーク外部性とスイッチングコストの比較がある程度可能であることが示されたと言えよう。