公民パートナーシップをレバレッジとした非営利組織の戦略的行為に関する調査・研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 東郷 寛; 金川 幸司; 吉田 忠彦; 團 泰雄; 井上 祐輔
本研究の目的は、公民パートナーシップ(以下、PPP)に従事する非営利組織がPPPをレバレッジとした戦略的行為を通して公共政策目標の達成と組織ミッションの実現を図る過程を明らかにすることによって、戦略的行為の分析枠組の構築ならびに公共的価値と社会的価値の創造が可能な戦略的行為の諸条件を提示することにある。戦略的行為は、社会的課題解決を目的とするPPPの事業化に向けた働きかけ、PPPの企画・実施を通じた事業の多角化、そして、事業の多角化で得られたノウハウの事業活動へのフィードバックから成る。
本年度は、非営利組織の戦略的行為を行うコアスタッフ(事務局長やマネジャーなど)のリテンションのメカニズムを明らかにするため、非営利組織の戦略的人的資源戦略にかかる文献の渉猟と先行研究から得られた知見の整理を行った。その結果、先行研究の課題として以下の点が明らかになった。第一に、組織戦略を実施するうえで必須となる人的資源戦略の動態メカニズム、具体的には採用される人的資源コンフィギュレーションが状況に応じて変化するメカニズムを明らかにすることである。第二に、組織戦略形成における理事会とコアスタッフである経営者との関係性を考慮しながら、組織戦略と人的資源戦略の形成過程を捉える分析枠組みを構築することである。以上の研究課題に取り組むべく、対象組織へのインタビュー調査を行う予定であったが、コロナ禍の影響で断念せざるを得なかった。