SDGs時代におけるインターンシップの意味転換-SDGs目標8:就職/採用段階からのディーセント・ワークの促進に向けて-
新田 和宏
近畿大学経営学部紀要『商経学叢』 65 5 1 - 17 2019年03月
[査読有り][招待有り] 近年の「超・売り手市場」も影響して,選別の一つのツールもしくはルートとして,「Idayインターンシップ」や「採用選考型インターンシップ」(大阪性中商工会議所)などの採用型インターンシップが急速に台頭し拡大しつつある。字義通り,採用を見据えた採用型インターンシップは,採用を切断しキャリア教育の一環として行われてきた従来のキャリア教育型インターンシップとはタイプが全く異なる。本稿は,まずキャリア教育型インターンシップから採用型インターンシップへ転換していく状況を考察しながら,この転換の意味を省察しようと試みる。次に,学生の企業選別において,採用型インターンシップを通じ,どのような条件設定であれば,就職/活動過程において,企業側のディーセント・ワークの保障を確認しえるものなのか,少々,問題提起を試みてみたい。尚,本稿は,生物理工学部に在職する筆者が経営学部からのお勧めを戴き,恩義ある辻隆久先生の退官記念論文集に寄稿するものである。SDGsやディーセント•ワークおよびIdayインターンシップなど,今時のテーマにクローズ・アップしながら,今後のわが国におけるインターンシップや採用および雇用の在り方の可能性を主題に据えた。未熟な論考を辻先生の退官記念論文集に寄稿するのは,内心忸怩たるものがあるが,これまで経営学部のインターンシップに大変なご尽力を果たした辻先生の思いを,ささやかながら継ぐ一人として,今後のインターンシップにおける課題を提示したいということで,ご海容戴きたいと思う。