江藤淳と新右翼
中島一夫
江藤淳 終わる平成から昭和の保守を問う 192 - 197 2019年05月
[査読有り][招待有り] ドイツの新右翼の中心人物アルミン・モーラーと日本の文芸評論家江藤淳の考え方には共通点が見られる。この比較は、ソビエト社会主義がアメリカの自由主義の変種へと変容したことを特徴とする東西「冷戦」時代の文脈の中に位置づけられる。江藤もモーラーも、日本とドイツの自由主義(リベラル・イデオロギー)への同化に対して批判的な立場をとっていた。江藤の思考は「保守革命」あるいは「右派からの1968年革命」として特徴づけられる。このような視点を採用することで、江藤淳の一見ドメスティックな言説をグローバルな歴史的文脈の中で再解釈することができる。