築山 拓司(ツキヤマ タクジ)

農学部 農業生産科学科准教授

Last Updated :2025/07/11

■教員コメント

コメント

「動く遺伝子」トランスポゾンが生み出す遺伝的多様性(=個性)を研究しています。得られた知見を基に、作物の品種改良に有用な変異創成技術の開発を目指しています。

報道関連出演・掲載一覧

<報道関連出演・掲載一覧> ●2023/8/23  毎日新聞  コーヒー抽出残渣を用いた循環型農業の共同研究について

■研究者基本情報

学位

  • 博士(農学)(京都大学)

研究キーワード

  • 転移因子   キチナーゼ   育種   イネ   

現在の研究分野(キーワード)

「動く遺伝子」トランスポゾンが生み出す遺伝的多様性(=個性)を研究しています。得られた知見を基に、作物の品種改良に有用な変異創成技術の開発を目指しています。

研究分野

  • 環境・農学 / 遺伝育種科学
  • ライフサイエンス / 遺伝学

■経歴

経歴

  • 2019年04月 - 現在  タキイ研究農場付属園芸専門学校講師
  • 2018年04月 - 現在  吉備国際大学地域創成農学部非常勤講師
  • 2016年04月 - 現在  近畿大学農学部准教授
  • 2007年04月 - 2016年03月  京都大学大学院農学研究科助教
  • 2005年11月 - 2007年03月  京都大学大学院農学研究科助手

学歴

  • 2001年04月 - 2005年03月   京都大学大学院   農学研究科   農学専攻 博士課程
  • 1999年04月 - 2001年03月   京都大学大学院   農学研究科   農学専攻 修士課程
  •         - 2001年   京都大学   Graduate School, Division of Agriculture
  • 1994年04月 - 1998年03月   近畿大学   農学部   農学科
  •         - 1998年   Kinki University   Faculty of Agriculture

委員歴

  • 2017年01月 - 現在   ナント種苗株式会社   組換えDNA実験安全委員会 外部学識経験者委員
  • 2020年04月 - 2022年03月   日本育種学会   代議員
  • 2016年04月 - 2020年03月   日本育種学会   運営委員(集会)
  • 2014年04月 - 2016年03月   日本育種学会   幹事
  • 2010年04月 - 2012年03月   日本育種学会   幹事
  • 2008年04月 - 2010年03月   日本育種学会   常任幹事

■研究活動情報

論文

MISC

書籍等出版物

  • 初めての酵素化学
    築山 拓司 (担当:分担執筆範囲:第7章 酵素の遺伝子工学/第9章 酵素の作用ーキチナーゼー)シーエムシー出版 2016年12月

講演・口頭発表等

  • Transposon-mediated alternative splicing in the rice genome  [通常講演]
    Tsukiyama T; Kum R; Inagaki H; Saito H; Teraishi M; Okumoto Y; Tanisaka T
    International Symposium"Establishing Next-Generation Genetics" 2015年 ポスター発表
  • Utilization of active MITE mPing as a novel genetic tool for modification of stress response in rice  [招待講演]
    Yasuda K; Tsukiyama T; Saito H; Naito K; Teraishi M; Tanisaka T; Okumoto Y
    7th International Rice Genetic Symposium 2013年11月 口頭発表(招待・特別)
  • Loss-of-function of an ubiquitin-related modifier RURM1 promotes the mobilization of the active MITE mPing  [通常講演]
    Tsukiyama T; Teramoto S; Yasuda K; Horibata A; Mori N; Okumoto Y; Teraishi M; Saito H; Onishi A; Tamura K; Tanisaka T
    7th International Rice Genetic Symposium 2013年11月 ポスター発表
  • Gene expression analysis and characterization of rice (Oryza sativa L.) class II chitinase CHT11  [通常講演]
    Tsukiyama T; Inouye K; Kosonh X; Okumoto Y; Nakazaki T; Tanisaka T
    International Symposium on Frontier in Plant Proteome Research -Contribution of proteomics technology in creation of useful plants- 2008年 ポスター発表
  • Differential expression of 11 PR-3 chitinase genes in rice (Oryza sativa L.) plants during rice blast infection and signal molecule treatments  [通常講演]
    Tsukiyama T
    The 6th Kyoto University International Symposium “Plant sciences in Japan and China -from genetics to breeding” 2005年 ポスター発表
  • Different roles of PR-3 chitinase isozymes in rice  [通常講演]
    Tsukiyama T; Okumoto Y; Inouye K; Terachi T; Tanaka C; Nakazaki T; Tanisaka T
    5th International Rice Genetics Symposium and 3rd International Rice Functional Genomics Symposium 2005年 ポスター発表
  • Biological functions of PR-3 chitinase isozymes in rice (Oryza sativa L.)  [通常講演]
    Tsukiyama T; Inouye K; Nakazaki T; Terachi T; Tanaka C; Mikami B; Okumoto Y; Tanisaka T
    World Rice Research Conference 2004 2004年 ポスター発表

担当経験のある科目_授業

  • 植物分子生物学近畿大学
  • 植物育種学近畿大学

所属学協会

  • 日本遺伝学会   日本農芸化学会   日本育種学会   Japanese Society of Breeding   

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 赤米在来品種‘神丹穂’に由来する着色突然変異体の遺伝解析と育種への応用
    公益財団法人 G-7奨学財団:研究開発助成
    研究期間 : 2024年01月 -2024年12月 
    代表者 : 築山拓司; 西村和紗
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 種坂 英次; 築山 拓司; 白澤 健太
     
    菌床培地において、正常株nは全ての栽培瓶で子実体を形成した。変異株d3とd4は一部の栽培瓶で菌床表面の一部のみから子実体を形成したことから、両株は子実体形成に関して極めて不安定であるものの、完全な子実体形成不能ではないと判断した。一方、変異株d5は菌床面に子実体原基の様な凹凸は観察されたが、それ以上の分化はみられなかったことから、完全な子実体形成不能株であると判断した。フラスコ内のMYS液体培地において、正常株nでは25℃で培養した栄養菌糸体を15℃の低温下に培養温度を変更することで子実体を形成したが、変異株d3、d4、d5では低温下でも子実体は形成されなかった。 RNA-seq解析において、エノキタケの子実体形成期に特異的に発現することが知られているFDS遺伝子やエノキタケを含む数種の菌類でも子実体形成期に発現するhyd1遺伝子が、低温刺激を与えた正常株でのみ誘導される遺伝子としてピックアップされた。RT-qPCRによる子実体形成関連遺伝子の発現解析において、Fvhyd1遺伝子とFvFDS1遺伝子は低温刺激を与えた、変異株d3、d4では発現せず、正常株nの原基形成期に特異的に発現していた。しかし、低温刺激を与えた、変異株d5では両遺伝子の発現が確認されたことから、この2つの遺伝子は子実体原基形成において、必要条件であるが十分条件では無いと考えられた。また、両遺伝子の発現はすべての菌株で連動していたことから、これらの発現を制御する共通の転写調節因子の存在が考えられる。本研究によって、これまで野生株を用いた子実体形成期に発現すると観察されていたFDS1やhyd1遺伝子の特性が、子実体形成不全株を用いることで、より明確に示された。
  • 転移因子の活性を制御するエピゲノムリプログラミング機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 築山拓司; 吉川貴徳; 谷坂隆俊
  • 転移因子による選択的スプライシングを制御るスプライシング暗号の解明(継続)
    公益財団法人 G-7奨学財団:研究開発助成
    研究期間 : 2022年04月 -2023年03月
  • 転移因子による選択的スプライシングを制御るスプライシング暗号の解明(継続)
    公益財団法人 G-7奨学財団:研究開発助成
    研究期間 : 2021年04月 -2022年03月 
    代表者 : 築山拓司
  • コーヒー抽出残渣での栽培に適したヒラタケ属きのこの品種開発とその廃菌床の農業利用
    一般社団法人ヤンマー資源循環支援機構:研究助成(一般)
    研究期間 : 2021年04月 -2022年03月 
    代表者 : 築山拓司
  • 転移因子による選択的スプライシングを制御するスプライシング暗号の解明
    公益財団法人 G-7奨学財団:研究開発助成
    研究期間 : 2020年04月 -2021年03月 
    代表者 : 築山拓司
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 築山 拓司; 谷坂 隆俊; 奥本 裕
     
    イネ熱帯ジャポニカ品種Oiranは、mPingが転移しているイネ品種銀坊主と同じSNPタイプのPingが存在するにもかかわらず、Pingは発現しておらず、mPingも転移していない。今年度はまず、Oiranとイネ温帯ジャポニカ品種日本晴(Pingは発現している)のPingのプロモーター領域のDNAメチル化を調査した。その結果、日本晴と比較して、OiranではPingのプロモーター領域が高度にメチル化されていた。このことから、OiranではPingの発現を全身的に抑制する因子によってmPingの転移が抑制されていると考えられた。そこで、Oiranと日本晴の交雑後代(ON系統)を作出し、Pingの発現とメチル化程度を調査した。その結果、ON系統F1個体では、Pingのプロモーター領域のメチル化が低下しており、Pingの発現量が日本晴と同程度であった。このことから、OiranにおけるPing発現抑制因子は日本晴にも対立遺伝子がある場合は劣性であるか、日本晴には別の座にPing活性化因子が存在する可能性が示唆された。Oiran由来のPingのみをホモで有するON系統F2個体群において、Ping発現抑制因子をもたない個体が現れるのではないかと期待されたが、Pingの発現量が日本晴以上あるいは同程度の個体は得られなかった。Pingが抑制されていたON系統F2個体では、プロモーター領域が高度にメチル化されていた。ON系統F3個体群においては、Pingの発現は抑制されていた。今年度は、OiranにおけるPing発現抑制因子を同定することはできなかったものの、イネの亜種間交雑によってPingのメチル化が低下し、発現が回復することを見出した。また、亜種間交雑によって低下したメチル化は、自殖によって世代を経るごとに再度メチル化することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 種坂 英次; 築山 拓司
     
    単核性発茸特性を示すエノキタケ系統(bmHY4)について、アグロバクテリウムを介した形質転換(AMT)の効率化を進めた。アグロバクテリウム株LBA4404とC58C1ではEHA105と比較して4~5倍の形質転換効率を得た (Tanesaka et al. 2018)。一方、トランスポゾンの自律性転移による変異体の作出を試みた。真菌類Fusarium oxysporum由来の自立性転移因子impalaの全長を含むpUC-imp160領域をバイナリベクター(pPZP-HYG2)のT-DNA領域に導入し(pPZP-imp)、pPZP-impを用いたAMTによるエノキタケ形質転換体を作出した。
  • 活性型転移因子を利用したゲノムショック育種法の開発
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(A))
    研究期間 : 2014年 -2018年 
    代表者 : 奥本 裕; 寺石政義; 築山拓司; 齊藤大樹; 小出陽平
  • イネ活性型転移因子mPingの活性を制御する遺伝子の単離
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2014年 -2017年 
    代表者 : 谷坂 隆俊
  • 未利用酵素資源の食品工業、医薬品工業および農業科学への利用
    ワキ製薬株式会社:共同研究
    研究期間 : 2015年04月 -2016年03月 
    代表者 : 築山 拓司
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2013年 -2016年 
    代表者 : 築山 拓司; 奥本 裕; 寺石 政義; 齊藤 大樹
     
    本研究は、イネ活性型転移因子mPingが宿主ゲノムのエピゲノムにおよぼす効果を解析するとともに、mPingの転移と宿主のエピジェネティックな制御の関係を解明することで、転移因子を用いたエピゲノム育種を提案しようとするものである。イネ品種銀坊主は1,000コピー以上のmPingを有している。25年度は、Post-bisulfite Adaptor Tagging (PBAT)法でmPing配列特異的なライブラリーを作成し、次世代シーケンサー(NGS)を用いてコピー間のメチル化状態の網羅的解析を試みた。その結果、mPing内部のシトシンの平均メチル化程度は、CG、CHGおよびCHHサイトにおいてそれぞれ95%、58%および31%であった。本研究結果を基に、これまでの研究で明らかになっている16箇所のmPing挿入位置のメチル化程度を比較解析したところ、活性型mPingではほとんど全てのシトシンのメチル化が低下したのに対して、不活性型mPingではメチル化の低下はほとんどみられなかった。このことから、メチル化程度の減少がmPingを活性化する要因であることが確かめられた。しかし、本年度は、ライブラリーの調整が不十分であったため、コピー間のメチル化程度を比較することはできなかった。ユビキチン様タンパク質をコードするRurm1を機能喪失した突然変異系統IM294においてmPingは、メチル化の変化を伴わず、活発に転移している。これまでの研究から、IM294においては、コドン特異的にタンパク質翻訳が低下することが明らかになっている。IM294におけるmPing活性化機構を明らかにするために、iTRAQを用いた定量プロテオーム解析によって、IM294特異的にタンパク質量が低下している遺伝子の同定を試みた。結果の詳細は、解析中である。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    研究期間 : 2014年 -2015年 
    代表者 : 築山 拓司
     
    本研究では、イネStowawayファミリー転移因子・Pyongの再活性化を試みた。日本晴を含む温帯ジャポニカ品種には、Pyongは存在せず、染色体5および10を除く全ての染色体にPyongと高い相同性を示す23のPyong様因子が座乗することが明らかになった。しかし、これらは、DNA脱メチル化処理やガンマ線照射では再活性化しなかった。バイオインフォマティクス解析によって、トウモロコシから推定自律性因子Zm-aPyong (Zea mays active Pyong, 3084bp)を同定した。これらの成果によって、StowawayファミリーMITEの転移を解析することが可能になった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2010年 -2013年 
    代表者 : 奥本 裕; 寺石 寺石; 築山 拓司; 齊藤 大樹
     
    イネトランスポゾンmPingは、プロモーター領域に転移することで下流の遺伝子の発現に低温や塩ストレス応答性を付与することから、新たな発現プロファイルをもつ遺伝子の創出に繋がると期待される。本研究では、まず、mPingが活発に転移しているイネ品種銀坊主を用い、mPing挿入によって生じる変異遺伝子の選抜系を構築した。次いで、プロモーター領域にmPing挿入を有するストレス応答性遺伝子の発現プロフィルとDNAメチル化程度を解析した。その結果、mPingは、既存のプロモーター領域のメチル化程度を変えることなく、近傍のストレス応答性遺伝子のストレス応答性を多様に改変することが明らかになった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 築山 拓司
     
    トランスポゾン mPing が活発に転移しているイネ細粒突然変異系統IM294 の自殖後代に出現した強勢変異体 VGI の強勢発現機構を解析した。その結果、強勢発現には mPing の爆発的転移が不可欠であり、VGI1 においては mPing 挿入を内部もしくは近傍に有する遺伝子が 20 個存在することが明らかになった。本研究の結果は、トランスポゾンが転移によって生物進化を牽引することを実験的に示唆したものである。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : 谷坂 隆俊; 築山 拓司; 築山 拓司; 奥本 裕; 寺石 政義; 谷坂 隆俊; 築山 拓司
     
    イネ MITE・mPing は、品種銀坊主において今なお活発に転移している。本研究において、(1)mPing は近傍遺伝子の発現に正もしくは中立な効果を付与すること、(2)銀坊主には mPing 転移を制御する遺伝的要因が存在すること、および(3)ユビキチン様タンパク質 RURM1 の機能喪失が mPing 転移に起因する遺伝的多様性の拡大に有効であることが明らかになった。これらの成果によって、mPing を用いた高効率トランスポゾンタギング法の基盤が確立できた
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 奥本 裕; 谷坂 隆俊; 中崎 鉄也; 築山 拓司
     
    mPingの起源を明らかにするためにOryza属19種50系統におけるmPingの分布を調査した。その結果、mPing配列は供試した全てのOryza種に分布し、遠縁種間でもmPingの配列は極めて高度(99%以上)に保存されていた。野生イネに見いだされたmPing配列は3種に大別でき、銀坊主で最初に見出された430bpのもの(I型)、242-252にかけて9塩基の置換を有するもの(II型)、および239-249にかけての11塩基が欠失しているもの(III型)があった。後2者の分布がAAゲノムのO.sativa、O.rufipogonに限定されているのに対して、I型は一部のAAゲノム種を除く全ての種に見出された。したがって、mPing配列の起源はOryza属の種分化以前に遡ると考えられた。また、PongはO.sativaおよびO.rufipogonの全ての系統に認められたにも関わらず、Pingの分布は一部の系統に限られていた。このことは、Pongの起源はO.rufipogonが他のAAゲノム種から分化するときに遡り、PingはPongの後から起源したことを示唆している。銀坊主はmPingならびにPingの数が極めて多い特異な遺伝子型をもつ。とりわけmPingは、既に1000コピー以上に達しているにもかかわらず、毎世代増幅を続けている。銀坊主においてmPingの転移が抑制されない原因を解明するため、mPing転移が抑制されている日本晴と銀坊主との交雑後代F_4個体別F_5系統を用いて系統毎に親個体にはない新規挿入数を調査した。さらに、銀坊主と日本晴との間のmPing挿入多型を利用して作製した遺伝子地図に基づいたmPing活性に関するQTL解析を実施した結果、銀坊主のmPing転移活性に関与するQTLを染色体1および4に検出した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 谷坂 隆俊; 奥本 裕; 中崎 鉄也; 寺石 政義; 築山 拓司
     
    MITEsは、転移に伴って遺伝子の構造やその発現を変えることから、生物の進化に大きく関わっていると考えられる。非自律性トランスポゾンmPingは、動植物を通じて初めて同定された転移活性を有するイネのMITEである。これまでの研究から、mPingは、イネ品種銀坊主において通常の栽培条件下でも高い転移活性を有しており、遺伝子近傍に転移しやすいことが明らかとなっている。mPingの転移には、自律性因子PingおよびPongがコードする転移酵素が不可欠であり、それらのコピー数は品種間で異なる。本研究では、まず、銀坊主におけるPingの座乗位置の調査の過程において、Tc1/marinerスパーファミリーに属する新規トランスポゾンPyongを同定した。データベース検索の結果、品種日本晴の染色体1および12にもPyongと90%以上の高い相同性を示す配列がに存在することが明らかとなった。このことは、Pyong因子は、近年、イネゲノム中で増加したことを示唆している。次いで、銀坊主、日本晴および細粒突然変異系統IM294のcDNAを用いたトランスポゾンディスプレイ法によって、mPing配列を含んで転写される遺伝子の同定を試みた。その結果、mPing配列を含んで転写されている11の領域が同定された。これらのうち、6つは遺伝子の転写領域、5つは遺伝子をコードしない領域であり、供試品種・系統間にはこれら領域にmPing挿入多型があることが明らかとなった。また、mPing挿入がある遺伝子のmPing挿入位置より上流および下流の転写量を調査したところ、mPing挿入位置より下流の転写量が顕著に低下していることが明らかとなった。これらのことは、mPingの挿入が、ゲノムの構造のみならず、近傍配列の転写を増進および抑制していることを示唆している。
  • アブシジン酸によって誘導されるイネクラスⅡキチナーゼCHT11が植物体の老化および成長・発育に及ぼす効果の解析
    京都大学:若手研究者スタートアップ研究費
    研究期間 : 2005年04月 -2006年03月 
    代表者 : 築山 拓司
  • イネにおけるPR-3キチナーゼを介したストレス防御および生育・分化機構の解明
  • Analysis of stress defense- and growth and development-mechanism mediated PR-3 chitinase in rice (Oryza sativa L.)

その他のリンク