谷口 亮人(タニグチ アキト)

農学部 水産学科准教授

Last Updated :2025/06/12

■教員コメント

コメント

海洋生態系における微生物群の組成や活性について研究しています。特に、活発に増殖している細菌に注目しています。延べ航海日数180日以上、延べ調査日数350日以上の経験があります。

■研究者基本情報

学位

  • 博士(農学)(広島大学)

ORCID ID

0000-0003-1094-1181

研究キーワード

  • 海洋学   養殖   微生物   多様性   生態学   マイクロスケール   サンゴ   魚類環境や腸内   プラスチック   人間と自然との共存共栄   プロバイオティクス   分子生態学的解析   寒天培養法   

現在の研究分野(キーワード)

海洋生態系における微生物群の組成や活性について研究しています。特に、活発に増殖している細菌に注目しています。延べ航海日数180日以上、延べ調査日数350日以上の経験があります。

研究分野

  • 環境・農学 / 環境動態解析
  • ライフサイエンス / 水圏生産科学

■経歴

経歴

  • 2025年04月 - 現在  近畿大学農学部准教授
  • 2016年04月 - 2025年03月  近畿大学農学部講師
  • 2013年04月 - 2016年03月  近畿大学農学部助教
  • 2009年01月 - 2013年03月  近畿大学農学部GCOE博士研究員
  • 2008年04月 - 2008年12月  東京大学海洋研究所特別研究員
  • 2005年04月 - 2008年03月  日本学術振興会特別研究員(DC1)

学歴

  • 2006年06月 - 2008年03月   東京大学   海洋研究所   特別研究生
  • 2005年04月 - 2008年03月   広島大学大学院   生物圏科学研究科   博士課程後期
  • 2003年04月 - 2005年03月   広島大学大学院   生物圏科学研究科   博士課程前期
  • 1999年04月 - 2003年03月   広島大学   生物生産学部   生物生産学科

■研究活動情報

論文

MISC

書籍等出版物

  • 日本微生物生態学会 (担当:分担執筆範囲:第3章水圏環境の微生物 59.微生物炭素ポンプ)朝倉書店 2014年07月 ISBN: 4254171587 432

講演・口頭発表等

担当経験のある科目_授業

  • 水族環境学(近畿大学農学部)
  • 水産実用数学近畿大学農学部
  • 微生物海洋学特論近畿大学大学院農学研究科
  • 技術者倫理近畿大学農学部
  • 微生物海洋学近畿大学農学部

所属学協会

  • International Society for Microbial Ecology   American Society for Microbiology   日本水産学会   日本海洋学会   日本微生物生態学会   日本水産増殖学会   日本サンゴ礁学会   

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2024年04月 -2028年03月 
    代表者 : 谷口 亮人
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 谷口 亮人
     
    養殖漁場の水質浄化は細菌が担っている。細菌が駆動する物質循環が乱れると水質が悪化するが、その鍵を握る細菌種は未だ分かっていない。本研究では、養殖漁場における有機物の分解・利用に直接寄与している細菌種を特定することを目的としている。令和3年度は、既得試料と新規採取試料の処理を実施するとともに、養殖漁場の特徴的な有機物である養殖魚の餌料に応答して増殖してくる細菌を分離培養し、細菌種を特定した。使用した餌料は、現場養殖漁場で使用されているドライペレット(DP)とモイストペレット(MP)で、細菌が直接利用できる有機物は溶存画分であるため、溶存画分のみを抽出した。養殖漁場の海水および非養殖漁場の海水を採取し、それぞれに約3 mg/LとなるようにDPならびにMP有機物を添加したマイクロコスム実験を実施した。培養3日後および培養8日後にサブサンプリングし用いた培地は、海洋細菌分離汎用培地1/2 ZoBell培地ならびにDPあるいはMP有機物を1/2 ZoBell培地と同じような有機物量となるように添加したDPあるいはMP寒天培地である。寒天培地に塗抹して2週間以降に単離を行い、最終的に91株を得て、グリセロールストックした。あわせて、これら分離株のうち57株のITS領域と16S rRNA遺伝子領域の塩基配列を読んだ。特定できた細菌種のなかに、Proteobacteria門Alphaproteobacteria綱Rhodobacterales目やBacteroidetes門Flavobacteriia綱Flavobacterialesに近縁な分離株が複数いた。これらの細菌群は、研究代表者の先行研究において沿岸域で活発に増殖して物質循環を司っている細菌鍵種であることが示唆されている。今後、既得データと照合することで、これら細菌群の本養殖漁場における季節的な動態を明らかにする予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 江口 充; 谷口 亮人
     
    養殖漁場では、水域生態系に負荷される有機物量が生簀がない場合に比べて大きい。この有機物負荷が当該水域の持つ自浄能力を超えると、有機汚濁、富栄養化、底層の貧酸素化といった自家汚染を起こす。養殖漁場の持つ自浄能力を評価することは難しい。有効な評価指標の一つが、当該水域における高分子有機物(例えばタンパク質)を低分子有機物(例えばアミノ酸)に加水分解する酵素活性の測定である。この高分子有機物が細菌群が利用可能な低分子有機物に加水分解されるプロセスが水域における有機物フローの制限要因となり、これを"gate keeper"と呼ぶ。 この有機物の流れを主に担う海洋細菌群の加水分解活性は、水温、塩分、溶存酸素などの環境要因により変化する。今までの研究から、水域が成層し、海底が貧酸素化しやすい夏季には、この加水分解活性が特に底層で停滞しがちであり、強風により鉛直混合が起こる冬季に活性が上がることを確認している。本研究課題では、加水分解活性が停滞しやすい夏季底層に強いインパクトを与える台風の影響を評価しようとしている。 2021年の台風発生数は例年よりも少なく、2020年に引き続き台風が暴風域を伴ったまま上陸することは皆無であった。野外調査で台風の影響を評価することが出来なかったが、室内実験により興味深い成果を得ることができた。それは、雨水の影響である。降雨により表層海水の塩分が低下するとペプチドの末端からアミノ酸を一つずつ切り離していくエキソペプチダーゼの活性が有意に高くなるのである。タンパク質の内部のペプチド結合を切るエンドペプチダーゼや糖類の加水分解酵素ではそのような傾向は確認できなかった。雨水により加水分解活性が上昇する現象を室内実験で確認したことは新規な知見と言える。
  • 種苗生産における「水作り」の微生物生態学的な解析とマニュアル化
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2009年04月 -2014年03月 
    代表者 : 江口 充
  • 文部科学省:科学研究費補助金(若手研究(B))
    研究期間 : 2013年 -2014年 
    代表者 : 谷口 亮人
     
    近畿大学奄美実験場のクロマグロ養殖場では、サンゴが群棲している。環境に負荷を与える魚類養殖ときれいな海の象徴であるサンゴが共存しているこの事実は、至妙な物質循環が成立していることを示唆する。本研究では、サンゴが放出する粘液に注目して、この物質循環を支える細菌を解析した。具体的には、海水試料、ならびにサンゴ粘液をシリンジで直接採取した試料(粘液試料)および海水試料と粘液試料を混合した試料(混合試料)を用意した。平成25年度は、既得試料(平成21~24年5月および10月)と新規採取試料(平成25年5月および10月)の試料において、細菌群集構造を解析した。さらに、非養殖場海域における試料(既得試料)においても、細菌種の特定を行った。本研究では、増殖活性のある細菌群のみを標的にすることができるブロモデオキシウリジンを用いたDNAトレーサー法と、多様性解析手法の一つであるリボソーム遺伝子間転写領域自動解析あるいはCARD-FISH法を組み合わせて、サンゴ粘液によって増殖してくる細菌群の動態を明らかにした。現在のところ、粘液試料および混合試料においてのみ活発に増殖していた細菌を11種を特定した。これらのうち、6種はもともとの全体の細菌群では検出されなかった。一方で、粘液が加わると増殖活性がなくなる細菌種が9種存在した。活発に増殖している細菌の組成はAlphaproteobacteriaとBacteroidetesに属する細菌系統群で半分以上が占められていた。しかし、同じAlphaproteobacteriaに属していても、サンゴ粘液によって活発に増殖する系統群とそうでない系統群が存在していた。本研究で対象とする養殖場域では、AlphaproteobacteriaやBacteroidetesに属する系統群が重要な細菌群であることを示唆する。
  • 文部科学省:科学研究費基金(挑戦的萌芽研究)
    研究期間 : 2011年04月 -2013年03月 
    代表者 : 江口 充
     
    近畿大学のクロマグロ養殖イケスは、奄美大島の花天湾にある。ここのイケスロープには、美しいサンゴが育っている。このクロマグロ養殖とサンゴ共存のメカニズムを物質循環の駆動力となる海洋細菌の動態とサンゴが大量に放出する粘液に注目して調べた。イケス周辺の「海水のみ」と「海水+粘液」を一定時間培養し、比較すると、「海水のみ」ではあまり細菌群集構造が変化しなかったが、「海水+粘液」ではその質も量も大きく変化した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 谷口 亮人
     
    本年度は、海洋における有機物フラックスの変動機構を解明するために、細菌群集と各環境条件の相互関係について明らかにすることを目的とし、以下の試料についてさらなるデータを得た。 1.2004、2006、2007年に採取した北海道サロマ湖の海水・海氷試料についてBrdU/DGGE解析を行った。この結果、海水・海氷中の全体の細菌群と増殖速度の速い細菌群のDGGEバンドパターンは異なっており、0℃以下の低温環境に適応し増殖する細菌群の存在が示唆された。また、各年で海氷細菌群集構造が異なっていたことと、海氷植物プランクトン組成が年によって大きく異なるという報告から、海氷中における細菌群と植物プランクトン細胞あるいはその産生有機物との相互関係が示唆された。 2.広島県呉湾にて採取した試料について一年を通した経時的変動解析を行った。その結果、観測期間中RoseobacterやCFBグループといった細菌群が優占しており、その細菌群集構造は海洋の一大イベントである植物プランクトンブルームによって大きく変化していることが分かった。 これまで特定してきた細菌群を、有機物の分解・生成に直接的に大きく貢献している"key species"として捉え、その時空間変動や環境条件の変動から生態的ニッチを考察し、これを"key species eco-typing仮説"として提案した。本研究は、天然環境の細菌群の増殖に着目し、それに基づいた生態的ニッチを初めて提案した独創的な研究であり、有機物フラックスの変動機構解明の先駆的研究である。各生態的ニッチを代表する"key species"に焦点を当て、その現存量や増殖、活性などの定量的な解析を行うことで、細菌群集を介する有機物フラックスの変動を説明することが出来ると期待される。

産業財産権

社会貢献活動

  • 水と人と微生物-クロマグロ養殖とサンゴと微生物-
    期間 : 2018年10月06日 - 2018年10月06日
    役割 : 講師
    種別 : 出前授業
    主催者・発行元 : 川西市生涯学習短期大学講義
  • 水と人と微生物-クロマグロ養殖を支えるミクロな宇宙-
    期間 : 2017年10月21日 - 2017年10月21日
    役割 : 講師
    種別 : 出前授業
    主催者・発行元 : 川西市生涯学習短期大学講義

その他のリンク