阿野 勇介(アノ ユウスケ)

工学部 化学生命工学科講師

Last Updated :2024/11/22

■教員コメント

コメント

有機分子や有機金属錯体を触媒として利用する新しい有機合成手法を開発しています。

■研究者基本情報

ORCID ID

0000-0003-2492-696X

現在の研究分野(キーワード)

有機分子や有機金属錯体を触媒として利用する新しい有機合成手法を開発しています。

■経歴

経歴

  • 2024年04月 - 現在  近畿大学工学部 化学生命工学科講師
  • 2023年04月 - 2024年03月  大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻助教
  • 2017年10月 - 2023年03月  大阪大学大学院工学研究科 附属アトミックデザイン研究センター助教
  • 2017年04月 - 2017年09月  大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻助教

学歴

  •         - 2012年03月   大阪大学   大学院工学研究科   応用化学専攻

■研究活動情報

論文

担当経験のある科目_授業

  • 物質化学実験近畿大学
  • 卒業研究ゼミナール近畿大学
  • 環境生命化学実験(化学系)近畿大学
  • 化学生命工学基礎実験近畿大学
  • 化学生命工学基礎演習近畿大学
  • グリーンケミストリー近畿大学
  • 化学・生命情報学近畿大学
  • 化学概論Ⅱ(インターナショナル)近畿大学
  • 計算化学・構造解析演習2大阪大学
  • 分析化学実験大阪大学
  • 有機化学実験大阪大学
  • 計算化学・構造解析演習(大阪大学)
  • 基礎化学実験大阪大学
  • 化学実験大阪大学
  • 基礎化学実験大阪大学
  • 化学実験大阪大学
  • 学問への扉大阪大学
  • 化学実験大阪大学
  • 化学実験大阪大学

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 阿野 勇介
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 阿野 勇介
     
    窒素原子を含む有機化合物は、タンパク質やDNAのような生体内の生命現象を司る生体内化合物や、医農薬などの有用な生理活性化合物として広く利用されているために、有機合成化学において重要な研究課題のひとつとなっている。ヒドラジン(N2H4)は窒素-窒素結合を有する化合物であり、その結合エネルギー(65 kcal/mol)は炭素-炭素結合の結合エネルギー(81 kcal/mol)に比べて小さいことが知られている。しかし、窒素-窒素結合の切断を利用した有機合成反応は、炭素-炭素結合の切断を含む反応に比べて報告例が少ない。 そこで本研究では、含窒素化合物の効率的な合成法の創出を目的として、ヒドラジン誘導体の窒素-窒素結合活性化を利用した新規触媒反応の開発を行っている。今年度は、効率的な窒素-窒素結合切断を実現するためのヒドラジン誘導体の設計、合成および反応性の精査を実施した。窒素-窒素結合の切断が不均一過程で進行することを想定し、一方の窒素原子の求電子性が向上するような分子を設計・合成した。また、ヒドラジン誘導体からの脱水素による窒素-窒素二重結合の形成を抑制する分子設計を実施した。 合成したさまざまなヒドラジン誘導体に対して触媒量の遷移金属錯体を作用させた結果、パラジウム錯体やニッケル錯体を用いた場合において、窒素-窒素結合の切断が進行した生成物が得られた。このとき、イミン構造を有するヒドラゾンを用いた場合に窒素-窒素結合の切断が進行することが明らかになった。また、その検討過程で、ヒドラゾンの窒素-窒素結合の切断を経てニトリル化合物が得られることがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年08月 -2016年03月 
    代表者 : 阿野 勇介
     
    本研究では,室温において速やかにラセミ化が進行する動的な面不斉挙動を示す中員環アミン類を設計,合成し,その立体化学挙動を精査した.また,分子内水素結合や金属錯体の配位を用いた動的な立体化学挙動の制御法の開発に取り組んだ.さらに,光学活性な面不斉中員環アミン類の炭素中心性不斉分子への変換法について検討し,強塩基による分子内渡環反応やエポキシ化反応が立体特異的に進行することを明らかにした.これに加えて,本研究の過程でキラルパラジウム触媒による面不斉中員環アミン類のエナンチオ選択的合成法を新たに見出した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年 -2013年 
    代表者 : 阿野 勇介
     
    有機強酸として知られるスクアリン酸は、2つのカルボニル基と2つの酸性プロトンを対称に有するため、水素結合の受容体あるいは供与体として振る舞うことのできる化合物である。本研究では、スクアリン酸のユニークな構造的特徴を活用したブレンステッド触媒の開発と、その有機合成反応への応用を目的としている。今年度は、触媒合成法の確立と適用可能な有機反応の探索に関して検討を行った。 スクアリン酸アミド触媒は、スクアリン酸ジメチルに対し、側鎖に用いるアミンとトリフルオロメタンスルホンアミドを逐次的に導入することで合成できる。トリフルオロメタンスルホンアミドの導入には、1当量のジブチルマグネシウムの添加が必要であることがわかった。 得られた触媒をα―ベンゾイルラクトンの加水分解反応に用いたところ、目的の反応に続いて脱炭酸が進行し、対応するアルコール生成物が得られた。一方、メタノール中で同様の反応を行うと、対応するメチルエステルが得られることがわかった。他のエステルの加水分解も試みたが、触媒活性は見られなかった。 スクアリン酸アミド触媒と金属試薬を組み合わせた不斉反応の検討も行ったところ、ケトン類のボラン還元において不斉誘起が確認された。また、不斉誘起にはヒドロキシ基の酸性プロトンが必須であることがわかった。 以上のように、スクアリン酸アミド触媒はエステルの加水分解やケトンの不斉還元などの有機合成反応に一定の効果を持つこと明らかになった。従来のスクアリン酸アミド触媒にはない強酸性プロトンが、カルボニル基の活性化に寄与することが示唆される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 阿野 勇介
     
    炭素-水素結合は有機化合物に普遍的に見られる化学結合である。この結合を選択的に切断し、新たな化学結合形成に利用する研究は、天然資源に乏しいわが国において効率的な化学合成プロセスの構築につながる重要な研究である。これまでに金属触媒に対して配位可能なヘテロ原子を有する配向基を利用した、ベンゼン誘導体とプロモアセチレンの直接クロスカップリング反応がパラジウム触媒により進行することを見出している。今回、複数の配位点を持つ配向基として、8-アミノキノリンや2-ピリジニルメチルアミン由来のアミド基を用いた直接アルキニル化反応を前年度に引き続き検討した。その結果、添加剤として酢酸セシウムを用いると、良好な収率で芳香族オルト位炭素-水素結合の直接アルキニル化が進行した。また、これまで適用が困難であった電子不足性置換基を有する安息香酸アミドであっても効率良く反応が進行した。 さらに、同じ配向基を利用してより反応性の乏しい炭素-水素結合を有する脂肪族カルボン酸アミドのアルキニル化反応を検討したところ、添加剤に酢酸銀と塩化リチウムを用いることでアミドのβ-位の直接アルキニル化が良好な収率で進行した。アミノ酸誘導体や胆汁酸などの生物由来のカルボン酸アミドのアルキニル化に対してもが可能であり、生体内分子の修飾に有効であることがわかった。 一方、パラジウム触媒では適用が困難であった含窒素複素環を配向基とする芳香族化合物の直接アルキニル化が、ルテニウム触媒により進行することがわかった。本触媒系ではピバル酸セシウムが効果的な添加剤であり、ピリジンやピリミジン、ピラジンなど様々な窒素配向基が適用可能であった。また、活性水素を持つイミダゾールを有する基質でも良好な収率でアルキニル化体を与えた。したがって、配向基と金属触媒を適切に選択することで新たな反応性を見出すことが期待できる。

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