鈴木 貴雄(スズキ タカオ)

理工学部 理学科准教授

Last Updated :2024/11/27

■教員コメント

コメント

専門は複素領域上の非線形微分方程式論です。最近は既知の関数を使って解が書けないような微分方程式、特に「パンルヴェ方程式」と呼ばれるものについて研究しています。

■研究者基本情報

学位

  • 博士(理学)(2004年03月 神戸大学)

プロフィール

  • 1974年2月大阪府生まれ。2004年3月神戸大学大学院自然科学研究科博士後期課程構造科学専攻修了。

    専門は可積分系および特殊関数論です。最近はアフィン・ルート系やモノドロミー保存変形から見たパンルヴェ方程式の高階化、及びその超幾何関数との関連について研究しています。

研究キーワード

  • クラスター代数   離散可積分系   ガルニエ系   超幾何関数   可積分系   リー代数   モノドロミー   パンルヴェ方程式   ルート系   ソリトン方程式   特殊関数   ワイル群   

現在の研究分野(キーワード)

専門は複素領域上の非線形微分方程式論です。最近は既知の関数を使って解が書けないような微分方程式、特に「パンルヴェ方程式」と呼ばれるものについて研究しています。

研究分野

  • 自然科学一般 / 基礎解析学
  • 自然科学一般 / 数理解析学

■経歴

経歴

  • 2016年04月 - 現在  近畿大学理工学部准教授
  • 2012年04月 - 2016年03月  近畿大学理工学部講師
  • 2011年04月 - 2012年03月  大阪府立大学高等教育推進機構教育拠点形成教員
  • 1998年04月 - 2000年09月  関西日本電気通信システム株式会社

学歴

  • 2001年04月 - 2004年03月   神戸大学   大学院自然科学研究科   構造科学専攻
  • 1996年04月 - 1998年03月   神戸大学   大学院自然科学研究科   数学専攻
  • 1992年04月 - 1996年03月   神戸大学   理学部   数学科
  • 1989年04月 - 1992年03月   大阪府立豊中高等学校

委員歴

  • 2021年03月 - 2022年02月   日本数学会   地方区代議員(代議員)
  • 2020年03月 - 2021年02月   日本数学会   全国区代議員(評議員)
  • 2019年03月 - 2020年02月   日本数学会   地方区代議員(代議員)

■研究活動情報

受賞

  • 2010年10月 神戸大学 全学共通教育ベストティーチャー賞
     
    受賞者: 鈴木貴雄

論文

MISC

書籍等出版物

  • Takao Suzuki (担当:編者(編著者)範囲:)Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University 2021年08月 163
  • Representation Theory, Special Functions and Painlev\'e Equations — RIMS 2015
    Hitoshi Konno; Hidetaka Sakai; Junichi Shiraishi; Takao Suzuki; Yasuhiko Yamada (担当:共編者(共編著者)範囲:)Mathematical Society of Japan 2018年06月 ISBN: 9784864970501 541

講演・口頭発表等

所属学協会

  • 日本数学会   

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2024年03月 
    代表者 : 鈴木 貴雄
     
    本年度は主に次の二つの成果を得た. (a) 昨年度の研究では,拡大された可約アフィン・ワイル群の双有理表現のラックス形式が得られ,これによりq-ガルニエ系の一般化が系統的に定式化された.本年度はこの結果についての論文をまとめ,Math. Phys. Anal. Geom.誌に投稿し掲載された.また2021年9月の日本数学会や2022年3月のジョージア大学(アメリカ合衆国)での国際会議において,オンライン講演による研究発表を行った. (b) 研究代表者や長尾・山田による先行研究において,q-ガルニエ系はハイネのq-超幾何級数の比によって記述される特殊解を持つことが明らかにされていた.これと上記(a)の結果を組み合わせることで,拡大アフィン・ワイル群のq-超幾何級数への作用を具体的に記述することに成功した.具体的には,まずq-ガルニエ系の由来となる拡大アフィン・ワイル群において,極大な部分群で超幾何関数解の条件と両立するものを求め,その双有理表現の解関数への作用からq-超幾何級数への線形作用を導出し,得られた結果を正方行列を用いて系統的に記述した.これにより,q-超幾何級数の満たす線形差分方程式や昇降演算子の作用などが,すべてワイル群の平行移動変換として理解できるようになった. (b)の成果については,指導院生との共著論文として発表予定であり,現在論文準備中である.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2023年03月 
    代表者 : 青木 貴史; 中村 弥生; 鈴木 貴雄
     
    まず、本年度出版された論文に関して概要を述べる。「研究発表」項目第1番目の論文では、大きなパラメータを持つ超幾何微分方程式に対してヴォロス係数を定義し、一般的な形で明示式を与えた。2番目の論文では、大きなパラメータを持つ超幾何関数・合流型超幾何関数と、これらが満たす微分方程式のWKB解のボレル和との関係を一般的な場合に完全に記述した。応用として、これらの関数のパラメータに関する漸近展開公式を与えた。3番目の論文では、一般化されたq-ガルニエ系に対するLax形式を与えた。本年度実施した研究では、次のような成果が得られた。一般化超幾何関微分方程式に対する原点および無限遠点におけるヴォロス係数を定義し,その具体形を与えた。さらに、一般化超幾何微分方程式の間に成り立つ退化図式と、ヴォロス係数に対する極限操作が整合していることを見出した。多変数の場合への研究にも着手した。その原型として、大きなパラメータを持つエアリーの微分方程式のWKB解をホロノミック系の立場から見直し、接続公式の初等的な別証明を与えた。従来の標準的理論では、超幾何関数の接続公式を用いていた証明に対して、新たに得られた証明は、代数関数の接続のみを用いる。この立場から、多変数の場合の最も基本的なものとして大きなパラメータを持つパーシー積分が満たすホロノミック系(パーシー系と呼ぶ)について研究を行い、エアリーの微分方程式と同様の構造があることを見出した。これにより、パーシー系のWKB解のリサージェンスが証明できた。これらの成果を記載した論文は、現在執筆中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 鈴木 貴雄
     
    最近,パンルヴェ方程式の高階化の研究が微分と差分の両面から活発に行われているが,方程式がどれだけ存在するのかという分類問題や,どの超幾何函数がどのパンルヴェ方程式の特殊解として現れるかという問題については,まだ明らかにされていないことが多い.本研究では,クラスター代数の理論を利用して,ある可約な拡大アフィン・ワイル群の双有理表現を定式化することに成功した.この群の平行移動変換からは,既存の高階q-差分パンルヴェ方程式のうちq-超幾何函数を特殊解として含むものが導かれる.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 青木 貴史; 中村 弥生; 鈴木 貴雄; 本多 尚文; 河合 隆裕; 竹井 義次; 山崎 晋; 小池 達也; 梅田 陽子
     
    超幾何微分方程式に含まれる3つの固有パラメータに大きなパラメータを1次関数として導入するとWKB解と呼ばれる形式解が構成できる。この構成は代数的、初等的に可能であるが得られた解は一般に発散し、そのままでは解析的な意味を持たない。この形式的に解をボレル総和法を適用することができ、解析的な解が構成できる。一方、超幾何微分方程式には超幾何関数で表示される標準的な解析解が知られている。本研究では、これらの古典的な解とWKB解のボレル和として得られる解の間の線型関係式を明らかにした。応用として超幾何関数のパラメータに関する漸近展開の公式を一般的に得た。ストークス現象を記述する式も併せて得られている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 大山 陽介; 渡辺 文彦; 鈴木 貴雄
     
    q-パンルヴェ方程式は古典的によく知られているパンルヴェ微分方程式の差分化である。q-パンルヴェ方程式の解が、特異点の周りで一般解がどう振る舞うのかを調べた。微分方程式の場合と違い、q-差分方程式の場合は局所的な挙動を記述する方法がよくわかってないので、まず、不確定特異点を持つ場合のq-線型方程式の接続問題を解いて、その接続係数を用いてq-パンルヴェ方程式の原点の周りでの挙動を記述した。特に退化したq-パンルヴェ方程式の場合、対応する線型方程式が不確定特異点を持つので、その線型方程式は発散級数を解にもつため、ストークス現象があらわれるが、q-超幾何系の接続問題を解いてストークス係数を決定した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年04月 -2014年03月 
    代表者 : 青木 貴史; 鈴木 貴雄; 泉 脩藏; 松井 優; 中村 弥生; 本多 尚文; 河合 隆裕; 竹井 義次; 小池 達也
     
    本研究では大きなパラメータを持つ微分方程式の解の大域的性質の解析を完全WKB解析の立場から行った。本研究で得られた成果は大きく分けて三つ挙げられる.まず、パンルヴェ階層の高次方程式の形式的一般解である指数漸近級数解(インスタントン解)の構成を行った.また,大きなパラメータをもつ超幾何微分方程式のストークス曲線の位相的形状を方程式のパラメータの条件により分類した.さらに超幾何微分方程式に対してヴォロス係数の決定を行い,それらがボレル総和可能でありボレル和の具体形が求まることを示した.これにより超幾何微分方程式のWKB解に対してパラメータに関するストークス現象が記述可能となった.

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