HAYASHI Takahiro; UEKI Syunsuke; ABE Koji
The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers J96-D (11) 2804 - 2814 1880-4535 2013/11
[Refereed] ラスタベクタ変換は画像編集,画像認識,画像検索等様々な分野において広く利用されている.一方で,既存のラスタベクタ変換手法は,人間の視知覚特性を考慮していないため,複数のオブジェクトが重なっている場合に,オブジェクトを正しく分割できないという限界があった.この問題を解決するために,本論文では,部分的に遮蔽された図形の輪郭線を補完する手法を提案する.提案手法では,部分的に遮蔽された図形が線対称図形であると判断される場合に,候補対称軸を設定し,その軸で図形を折り返すことで,欠損部分の輪郭線補完を試みる.折り返した輪郭線と元の輪郭線とで重なる部分が大きくなる場合に,候補対称軸を線対称軸として検出し,このときの折り返しにより得られる結果を補完結果として出力する.提案手法の有効性を評価するために,部分的に遮蔽された図形に対して,提案手法による補完が正解(人間による補完の結果)を出力できるかどうか調査した.また,既存手法である曲線による補完,直線による補完の結果とも比較した.その結果,既存手法と提案手法を適切に組み合わせ,線対称図形であると判断できる図形に対しては提案手法を適用し,それ以外の図形に対してのみ既存手法を適用することで,人間による補完結果により近い補完結果を出力できることを示した.