井上 知美 (イノウエ トモミ)
|
目的:薬局・薬店もしくは薬剤師が関与し救急車が出動したケースを検討し,薬局・薬店における救急対応のニーズに関して検討した。方法:大阪市消防局の救急活動記録から,薬局・薬店もしくは薬剤師が関与した救急要請のあった事例を抽出して検討した。結果・考察:薬局・薬店が関連した事例は6年間で1,075件であった。救急要請の原因としては,774例が内因性で,全身倦怠感,失神,腹痛,痙攣,呼吸困難が多かった。このうち意識レベルに問題を生じたケースは183例あった。外因性は250件で,転倒に伴う打撲,挫創,骨折が多かった。病院外心停止の事例も10件報告されていた。結論:薬局・薬店では基礎疾患を有して複数の薬剤を常用している高齢者が数多く薬局・薬店を訪れるが,内因性の救急病態とともに,転倒に伴う損傷にも対応できる必要がある。一次救命処置ができる体制も重要である。
これまで医療行為と解釈されてきた薬剤師による聴診や血圧測定等が,適法と解釈され,臨床現場での実施が可能となった.これにより,改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにフィジカルアセスメント(PA)が盛り込まれ,客観的臨床能力試験(OSCE)にPA課題の導入が検討されているものの,PA課題に対応した模擬患者(SP)の養成等に関する検討は行われていない.そこで,薬学生が行うPAと在宅医療に関するSPの意識調査を行った.SPは「在宅医療」やPAについて,少なからず知識や関心を持っていた.これらの結果は,一般の患者より高くなっていた.さらに,SPは,聴診に対して,その他の項目ほど受けたいと思っていないことが明らかとなった.そして,この傾向は,女性で高くなることが明らかとなった.したがって,PA課題を円滑に実施するためには,薬剤師教育(医療人)を十分理解したSPを養成する必要があるとともに,SPの立場に立った細かな配慮を行う必要があることが明らかとなった.