日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 1999年 -2001年
代表者 : 吉本 富士市; 森山 真光; 原田 利宣
1.曲線構造の分析技術の開発
曲線の性質を解析する手法として,曲率対数分布図を提案した.この分布図を用いると,美しい曲線は収束型,発散型,定速型,山型,谷型に体系化される.また,遺伝的アルゴリズム(GA)とスプラインを用いて曲線を自動的にセグメンテーションする手法を開発した.この手法は,特異点を持つ複雑な形状データに対しても適用可能である.開発した手法を用いて,自然造形物や人工物の特徴を解析し,その有効性を確認した.
2.自然造形物・工芸品・工業製品の曲線構造の分析
自然造形物や工芸品における曲線を広く採取・分析し,それらの曲線の性質を明らかにした.また,工業製品における曲線の性質と比較し,特徴を明らかにした.その結果,自然造形物と工芸品における曲線は,上記の体系化された美しい曲線の中の,発散型と定速型が大半であることが分かった.また,自然造形物では,工業製品における曲線に頻繁に用いられている収束型は少ないことが分かった.
3.応用技術および周辺技術の開発
リバースエンジニアリングのための曲線の自動フェアリングシステムを提案した.このシステムは,曲面の測定とキーラインデータの抽出,曲線のあてはめ,曲率単調曲線への分割,曲線の性質の分析,視覚言語への置き換え,キーラインの再構成,により構成されている.
また,リバースエンジニアリングにおいて曲線・曲面を創成するために必要な"多面体"の面構造分析を行い,視覚言語として体系化した.さらに,自動車のフロントマスクと人の顔の形態要素間の類似関係を調べ,それらの間には一致する形態的特徴が数多く存在することを明らかにした.