額原 敦; 石川 原; 寺下 大補; 富原 英生; 福田 周一; 大塚 正久; 木谷 光太郎; 橋本 和彦; 肥田 仁一; 若狭 朋子; 木村 豊
癌と化学療法 50 3 378 - 380 (株)癌と化学療法社 2023年03月
症例:症例は76歳,男性。検診で異常を指摘され,精査目的に当院紹介受診となった。上部消化管内視鏡検査で,十二指腸下行脚~水平脚に凹凸不整を伴う全周性の平坦な病変を認めた。生検で乳頭腺癌と診断された。腹部造影CTではリンパ節腫大や遠隔転移を認めなかった。内視鏡的深達度はM癌と推定されたが,大きさは約60mmで全周性,Vater乳頭近傍に位置していた。そのため,内視鏡的切除は困難と判断した。亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。術後病理診断で0-IIa型,tub1>pap,pTis,Ly0,V0,80×50mm,BD1,Ex0,Pn0,pPM0,pDM0,pN0,pStage 0であった。その後,再発なく経過している。側方発育型の十二指腸癌はまれな疾患であり,内視鏡的切除や縮小手術,膵頭十二指腸切除などが報告されている。広範な側方発育型十二指腸癌の1切除例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。(著者抄録)