村尾 佳則; 丸山 克之; 木村 貴明; 横山 恵一; 太田 育夫; 中尾 隆美; 濱口 満英; 石部 琢也; 中谷 壽男
日本腹部救急医学会雑誌 35 1 35 - 41 (一社)日本腹部救急医学会 2015年01月
食道破裂,穿孔の10症例の診断と治療について検討を加えた。症例は男性9例,女性1例で,平均年齢は64歳であった。特発性食道破裂は7症例で,異物による穿孔が2例,食道癌術後再建胃管穿孔の1例があった。特発性食道破裂の穿孔部位は全例とも下部食道で,再穿孔の1例をのぞき,経腹的アプローチを行い,後縦隔に食道裂孔からドレーンを挿入し,胸腔穿破している場合には,開胸ドレナージまたは胸腔ドレナージを加えた。入れ歯による頸部食道の穿孔は頸部よりドレナージを行い,PTPによる下部食道穿孔の膿瘍形成例では経腹的アプローチによりドレナージを行った。下部食道の特発性食道破裂や,下部食道に穿孔し周囲に膿瘍形成した症例に対する経腹的アプローチは,後縦隔にドレーンを適切な位置に挿入できること,大網を使用できること,手術侵襲が少ないこと,また腸瘻を追加できることなどが利点としてあげられ,有用であると考えられる。(著者抄録)