DANSHITA IppeiDepartment of Science Associate Professor |
三角格子反強磁性XXZ模型の飽和磁場近傍での希薄マグノンのBose凝縮と、その結果として現れる磁気秩序に関して議論する。スピン空間で等方的なHeisenberg模型の場合、一般に高磁場相は2:1状態あるいはV状態と呼ばれる共面的な磁気構造をとると信じられている。本研究ではこの等方的な場合を含むスピンSのXXZ模型一般における高磁場相の磁気秩序に関して、熱力学極限における対称性の破れの観点から大規模厳密対角化の結果を用いた詳細な議論を行う。
光格子中のBose気体の超流動相を考える。整数充填率かつMott転移近傍では超流動秩序変数の振幅の振動に対応するHiggsモードが現れる。我々の以前の研究で、Ginzburg-Landau理論を用いて、Higgsモードに対する障壁ポテンシャルの効果を考え、Higgs束縛状態という新奇な振幅モードが現れることを示した。本研究では、Gutzwiller変分波動関数を用いてこのHiggs束縛状態を解析する。
一次元の浅い光格子中に閉じ込められたボース気体の熱的活性化によるphase slip rateをGross-Pitaevskii方程式とBogoliubov方程式を用いて計算した。最近行われた光格子中のdipole振動の実験との比較を行った結果を報告する。
N個のフェルミオン準位の任意の4個がランダムに相互作用するSachdev-Ye-Kitaev模型を冷却気体系で実現する提案のため、この模型を研究する背景を述べ、結合原子・分子混合模型で複数の分子状態と原子状態の結合を制御することで、この模型が実現されることを示す。
Sachdev-Ye-Kitaev(SYK)模型を光格子中の冷却気体系で実現する方法を提案する。SYK模型は全てのサイト間をランダムにつなぐ二体ホッピング項から成るが、光会合過程を介して分子状態を中間状態として取り入れることでそのような二体ホッピングが導入できる。SYK模型の定常状態として実現されるブラックホール的な状態の特徴的な性質を同定するために、時間非順序型相関関数の観測方法も提案する。