危機における共同性
鈴木 伸太郎 (担当:共著範囲:Ⅰ-3 共同体形成力)風媒社 2012年03月 ISBN: 9784833105569 253 55-77
震災を契機に共同体のあり方が改めて問われているが、伝統的な共同体から抜け出した私たちの社会では、人間同士の特定の結びつきが固定化したものとして共同体を考えることには無理がある。むしろ状況と必要性に応じて共同体を適宜形成し、新たな結びつきを作り、また必要に応じてそれを解消していくようなダイナミズムが存在し、また必要ともされている。社会の成員はこのような「共同体形成力」ともいうべきものを養い育てていかなくてはならない。それは、見ず知らずの行きずりの人間であっても、他人から十分な関心を払ってもらえるような社会を作り出すことにつながるだろう。