語形成のそもそもを考える
萩澤大輝
京都言語学コロキアム 2020年01月 口頭発表(一般) 京都大学吉田キャンパス 京都大学大学院人間・環境学研究科 認知言語学系研究室
近年、哲学の領域において「語の存在論」をめぐって議論がなされている。しかし、あまり言語学の知見を参照していないために議論が深まっていないように思われる。一方、言語学の領域においても、同一性や変化など哲学的に重要な観点が十分検討されないまま理論構築が行われている。
そこで本発表は主に次の2つの議論を行う。(i)哲学領域における語の存在論をめぐる議論に対して、認知言語学の立場から応答する。(ii)語形成における諸概念について、同一性や変化の観点から検討を行う。語の存在論については、語の典型的な存在論的ステータスをミーム(模倣によって伝達される振る舞いの慣習的パターン)と考えることで問題の解決を図る。語の同一性と変化については、素朴実在論を棄却し、概念化者による体制化の産物として語を捉える「構成論」を主張する。