集学的治療を要した子宮体癌を合併したEbstein病成人例
丸谷 怜; 西 孝輔; 上嶋 和史; 高田 のり; 西野 貴子; 城 玲央奈; 中松 清志; 法里 慧; 杉本 圭相; 稲村 昇
日本成人先天性心疾患学会雑誌 日本成人先天性心疾患学会 11 (2) 24 - 28 2022/05
症例は51歳の女性.生来健康であったが,50歳前から腹部膨満を自覚していたが放置していた.51歳になり労作時呼吸困難で前医を受診し,経皮酸素飽和度の低下と大量の腹水を指摘され緊急入院となった.Magnetic Resonance Imaging(MRI)で子宮体癌を疑われ,内膜細胞診で確定診断したが,腹水細胞診は陰性であった.心エコー検査で重度の三尖弁閉鎖不全を伴うEbstein病と診断した.腹水と経皮酸素飽和度の低下は右心不全によるものと判明し,当院に転院となった.我々は関連各科が連携してがん治療と心臓治療を行った.どちらの疾患も早期の治療が必要であった.子宮体癌には放射線治療を選択し,放射線治療後に弁形成を行い救命することができた.本症例は先天性心疾患を含む複数の異なる疾患を合併し,複数科の連携で治療に成功した貴重な症例であり,報告する.(著者抄録)