髙橋 愛典 (タカハシ ヨシノリ)
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1974年1月、千葉市(中央区)生まれ。
10年間もの学生時代、学部は経済学科、大学院は商学研究科で、いずれも交通経済学(交通論)のゼミに所属した。研究テーマは卒業論文が自転車、修士論文が都市鉄道、博士論文がバス(公・共・民のパートナーシップ、つまり政府自治体・住民の共同体・民間企業の連携)。その中で、学部・学科でも研究科でも交通は「すみっコぐらし」になりがちであり、その居場所を探す日々が続いた。
現任校(商経学部→経営学部)で職を得て、関東から関西に拠点を移動。ロジスティクス論担当として着任したから、今度はトラック・船か。乗り換えの多い人生だ。物流・ロジスティクスを教えるとなれば、流通のことも知らねばならぬ。「ロジスティクスって何やるんですか?」と学生から訊かれたら、「(流通論+交通論+貿易論)÷3」と答える。
そう思いを巡らせているうち、ある飲み会の帰り道、八戸ノ里の橋の上で「交・流・通」=「ヒトの交通(transportation)と、モノ・情報の流通(distribution)によって、ヒトとヒトとの交流(communication)を実現する」というフレーズを思いつき、これを教育・研究のテーマとする。爾来15年ほど、その思いは変わっていないので、いよいよライフワークになっていくはず。研究上の関心はその15年でだいぶ拡散したが、交・流・通、さらにはそれらを基礎に置く商学でもって、横串を通さないといけない。経済学・商学・経営学をめぐる学説史と方法論、というと大袈裟だが教育機関やカリキュラムの歴史も時折調べてみるのは、そのためである。
そんなわけで担当ゼミのタイトルは「ロジスティクス論 ー交・流・通の知識・知恵・教養ー」で落ち着いている(一時的に交通論のゼミの募集が停止したときのみ「交通・ロジスティクス研究」としていた)。ゼミ生の卒業論文のテーマは「交・流・通のどこかにかすっていれば(きちんと関連を説明できれば)幅広く選んでよい」と言ってきたが、指導していて「卒論は 地図と年表と インタビュー」という境地に辿り着く。「地図に落として、地域ごとの特性を考える」「年表を作って、歴史的経緯を説明する」「文献でどうしても探れないことは、インタビューして関係者にお話を伺う」ことを基礎に置く。これも教育のみならず研究においても…。
地図は地理学、年表は歴史学、インタビューは民俗学、を代表しているともいえる。それらの学術的方法論を今から身に着けることは不可能に違いないが、いずれも私にとって今なお憧れの対象である。ひっくるめてアルファベット順に「FGH」といえようか。Folklore, Geography and Historyである。
自転車・鉄道・バス、公・共・民、流通論・交通論・貿易論、交・流・通、経済学・商学・経営学、知識・知恵・教養、地図と年表とインタビュー、FGHと、三段オチだよ人生は…。